Turn170.剣聖『籠城』
──アァアァァァァッ!
──アァアアア!
砦に迫る不死身の軍勢──。
そんな不死身の軍勢たちの行く手を阻むのは門前を守る二体のブラックシャドウナイトである。
ブラックシャドウナイトとて魔王の配下で魔物側──同陣営であるのにも関わらず、不死身の軍勢に対してもブラックシャドウナイトたちは例の如く武器を構えて立ち塞がった。
『許可書のない者はお通しすることはできません』
──アァァァッ!
意思を持たない屍や幽霊たちで構成された不死身の軍勢とは意思疎通がはかれないようだ。ブラックシャドウナイトたちの通告な耳に入っていないようで、その歩みを止めることはなかった。
『無許可者は排除せよと仰せつかっております』
それでも不死身の軍勢はターゲットを殲滅すべく、お姫様たちを狙ってそのままの勢いで砦に侵入しようとした。
ブラックシャドウナイトたちは自身に与えられた任務を全うすべく剣を抜いた。
そして──不死身の軍勢の進行を止めるために切りかかった。
──それは、お姫様たちにとっても意外な光景であった。同じ魔王の配下軍であるはずなのに戦いが始まってしまった。
建物の上階からそんな光景をお姫様が見ていると、剣聖アルギバーが声を上げた。
「分厚く強固な壁にブラックシャドウナイトの足止めもあるんだ。すぐに不死身の軍勢も侵入してくることはないだろう。休む者は休んで、どうするか作戦を練らないとな。この砦がいつまで保つか分からないし」
そう言い、彼は梯子を上がり始めた。
「どこへ行くの?」
テラが尋ねると、アルギバーはフゥと息を吐いた。
「見張りだよ。正面だけじゃなく、裏からも。どっから侵入してくるから分からないからな。兎も角、お前は休んでいろ」
アルギバーは梯子を上がり、建物外の様子を探るべく、見張り台へと向かっていった。
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