Turn151.姫『生死の大行進』
幸いなことに、アンデッド族のモンスターたちの足は遅かった。全力で城から駆け出したお姫様たちは、不死身の軍勢を引き離し、かなりの距離を稼ぐことができていた。
──アァアァアアッ!
それでも、不死身の軍勢が後ろから追ってきているという圧は感じられた。足を止めるわけにはいかず、一行は森の中を突き進んだ。
不死族のモンスターたちの中核である魔法陣は城の中にある。それを消し去ることがこの状況から逃れるためには一番手っ取り早いが、今さら引き返すことなどできやしない。
千や万は数があるであろう不死族の追撃者たちは──文字通り不死の軍勢となってお姫様たちを追跡したのである。
◆◆◆
そんな情勢を遠目に見ながら、したり顔で口元を歪める少女の姿があった。
かつてはお姫様の護衛の任を務め、魔王と対峙した賢者ニュウ・レンリィである。
「さぁ〜て、いつまで保つことができるかしらね」
ニュウはクスクスと笑った。人間の──お姫様の窮地に、心が痛んでいる様子など微塵もない。
「圧倒的な力の前に、抵抗など無駄。……そうよ。力を使わなかったアイツらなんて、さっさと滅びてしまえば良いのよ!」
眉間に皺を寄せながら追われる人間たちを睨み付けたニュウは、憎々しげに吐き捨てるのだった。
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