Turn148.魔王軍元賢者『噛み付く幹部』
「魔物というのは意外に度胸がないのね……」
玉座の間──。
ニュウ・レンリィは玉座に腰掛ける魔王に向かって、馬鹿にしたように笑みを浮かべた。
「そんな度胸なしの親玉なんですもの。だとすれば、魔王様っていうのも、意外に臆病なのかもしれないわね」
礼儀知らずなニュウの態度に、魔王は何も言わない。それで、ニュウはさらに気を良くして横柄な態度を取り続けた。
「よくもそんな成りで、私達に戦いを挑んだものね。何だったら、今すぐにでも貴方を倒してあげてもいいのよ」
ニュウ・レンリィは口元を歪め、手に持ったロッドの先端を魔王へと向けた。
──魔王は不動の如く動かず何も反応を示さない。
「……ふふっ!」
唐突にニュウは笑い、ロッドを納めた。
「……まぁ、貴方を倒すのは忌々しい人間たちを滅ぼしてからにするわ。身勝手で……自分勝手で……強欲で……自己中心的な生き物。滅ぼさないとね」
ニュウは魔王に背を向けて、手を振るった。
「貴方の部下の置き土産は、私が使わせてもらうわ。構わないわよね? 志しは違えど、目的は同じですもの。……貴方も安心して、そこで依り代たちが敗していく姿を見届けているといいわ……」
そんな魔族寄りの危険な思想を持った少女の背中を、魔王は黙ったまま見送るのであった。
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