Turn133.勇者犬『薬草を探して盗賊を見付ける』
ホワイトドラゴンの薬草を探し、森の中を駆け回っていた僕は随分と離れたところまで来てしまったようだ。何か役立つ物はないか夢中になり過ぎて、村の近くにある白龍の祠にまで戻って来てしまっていた。勿論、白龍の祠というのは名ばかりで、あくどい盗賊団のアジトになってしまっている。
ふと、男たちの怒号が耳に入って来た。性懲りも無く、悪さでもしているのだろうか。
茂みの陰からこっそりと様子を伺うと、意外な人物が目に入った──。
盗賊団の男たちに囲まれているのはマローネだった。その側には、見知らぬ優男の姿がある。
ゴードンに捕まってしまったかと思ったが、どうやらマローネは無事であったようだ。
しかし、どう見ても窮地である。あの優男では到底、盗賊団には太刀打ちできそうにない。
──どうして此処に来たんだ?
盗賊たちが居て、危険なのはマローネも重々承知のはずである。それに仲間を連れて来るにしても、どうせならもっと屈強な男を連れて来なければ前回の二の舞いだろうに──。
案の定、優男は盗賊の一人に顔面を殴られて一撃でノックアウトしてしまった。仰向けに、その場に倒れてしまう。
「ええっ!?」
マローネが驚いたような声を上げたが、僕からしてみれば当然の結果であろう。
──仕方がない。
僕はガサゴソと茂みの中から表に出た。
「ああん?」
物音がしたので、盗賊団の目が一斉にこちらに向けられる。
「ワンちゃん!」
ダウンした優男に駆け寄ったマローネも、僕に気が付いて声を上げた。
「げっ!? この犬は……!」
盗賊団たちは僕に気が付いて愕然となる。
──さぁて……。今度は思い切り暴れさせてもらうよ!
僕は全身の毛を逆立て、オーラを解放した。牙を剥き、俊敏な動きで盗賊たちに飛び掛かったのであった。
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