Turn122.勇者『友人たちの奮闘』

 不知火たちは地下室へと通じる階段を駆け下り、扉を閉めると内側からガチャリと鍵を掛けた。

 真っ暗な部屋の中、息を潜める。

「はぁ……はぁ……」

 聖愛は床に腰を下ろして肩で息を吐く。

 取り敢えず逃げ込んではみたが──。地下室では窓も脱出口もなく、完全に逃げ道は塞がれてしまっている。

 不知火はオロオロとし、紫亜は恐怖で体を震わせていた。聖愛も不安でいっぱいであったが、僕の寝顔を見て表情が些か和らいだ。

「呑気なものね……」

 聖愛は呆れたように息を吐く。

「ここから無事に脱出した、お礼でも貰わなければつり合わないわ。ネックレスの一つでも買ってもらいたいものね」

「私は飴とかでいいなぁ……」

「なら……包帯とかでも……」

 高価な物を口にする聖愛と打って変わって、紫亜と不知火は控えめだ。

「そうね。プレゼントしてもらうためにも、頑張りましょうか」

 聖愛なりの元気付けだったのだろう。

 沈んでいた紫亜と不知火の表情も明るくなっていた。


『どこだいーい? どこに隠れているんだーい?』

──和やかな雰囲気になったが、廊下から精神科医の声が聞こえてきたので聖愛たちは思わず口を噤んだ。

 精神科医がゆっくりと、こちらに近付いてきていた。

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