Turn103.勇者『友人たちの訪問』
「ふむ……これは、どうしたものでしょうかね……」
居間のソファーに横たわる僕を前に、精神科医は首を傾げた。友人たちとキャンプへ出掛けた疲れから眠りについた僕であったが、ここにきてもまだ眠っていて起きなかった。
初めはただ疲れているだけだろうとそっとしていた精神科医も、さすがに目覚めぬ僕に違和感を覚えたようだ。
精神科が体を揺すったり目覚まし時計を鳴らしたりしたが、僕は何の反応も示さず眠り続けていた。
「ふ〜む……」
精神科医は頭を悩ませたものである。飲まず食わずというのも、体には良くないのではないか。
──ピンポーン!
頭を悩ませていると、呼び出しのベルが鳴った。誰かが訪ねて来たらしい。
精神科医は玄関に向かうと、扉の覗き穴から外を覗いた。
『ごめんくださーい! 様子を見に来たんすけど』
来客も応対する精神科医の姿に気配に気が付いたようで声を上げた。
精神科医は扉の鍵を開けてやった。
「これはどうも」
扉を開け、玄関先に居たのは三人の少年少女であった。
「こんにちは!」と、手を上げたのは不知火倫太である。
「突然に、お邪魔してしまってすみません」と、丁寧に頭を下げたのは西崎聖愛だ。後の園田紫亜も、それに倣って頭を下げた。
「いえいえ。構いませんよ、いらっしゃい」
精神科医は三人を笑顔で中へと招き入れた。
──キャンプ場から僕らを送り届けた時に、異変がおきた。眠り込んだ僕だけ、どんなに揺さぶっても目を覚ますことはなかった。
そのことは同乗していた聖愛たちも知っているのだから、今更隠すことでもない。
精神科医は素直に僕の元へと三人を案内した。
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