電魔 THE ANGEL BLAST

小作

 たくさんのきれいな言葉の中に、一つだけ拙い言葉が混じっていた。

 若者たちがそのきれいな言葉の前に並んでいく中で、一人だけ拙い言葉の前に立つ女の子がいた。

 言葉にはこう書かれていた。

 「おれも一緒にしぬよ」

 言葉の主は死ぬつもりなどなく、こう書けば誰かが泣き止むだろうということを最近知った。

 言葉の主は二十年のあいだ洞窟に閉じ込められ、ようやく這い出ることができた大人だ。

 周りの世界はきれいで格好よくてわけがわからない。

 どこへ行ってもおかしな行動を取り、笑われた。

 少ない情報をかき集めてやっと作り上げた言葉だった。

 放った言葉の周りにはやっぱり笑い声しかなかった。

 結局、寂しくて死んだ後、残った言葉の前に女の子はいた。


 言葉は意味を伝えるだけで作られたわけではない。

 ある人が言った。

 「動物みたいに、無言で救えたらいいのに」


 はるか昔、人はこれを蛇裡亡だりないと呼んだ。

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