陰鬱な奴の歌う歌

黒犬

変わりたい

 変わりたい、変わりたいと思っても

 

 内心変わりたいなんて思っちゃいない

 

 根性論に包まれて育ってきたがな

 

 自殺して今生の別れになることも考えてんだよ


 矛盾の連続が俺の頭の中、心の中


 心なんてものがロマンチックなもんではなく


 あくまで生物学的なもんだとしか思ってはいないけれど


 こんな苦しいなんて思ってはいなかった


 生きてて辛い、生きてて怖い、生きてて泣きたい


 それなのに死にたくもないんだから変な話だ


 底なしに馬鹿な話だ


 くだらねえ、くだらねえ


 俺の頭の中は、90ぱーせんとの悪意と


 10ぱーせんとの恐怖で出来ている


 滑稽な男だ


 他人なんか気にせず生きていたいのに


 他人事にできない自分の性格が恨めしい


 優しさは美徳


 誠実さも美徳


 だけれど、それで心は埋まらない

 

 狂気と缶コーヒーと


 インターネットに救われて生きている


 いつも体を引きずっている気分だ

 

 体のいい言い訳ばかりずるずると言いやがる心の中


 馬鹿なんじゃねえのか


 馬鹿なのか?


 お前は誰だ


 どこの誰だ


 なんで努力しない


 どうして普通になれなかった


 ああ、気分が良くないわ


 いつかお金貯めてオペラでも見に行きたい


 チャーリーとチョコレート工場を久々に見た。


 『大人が言う永遠はちょっとの間のこと』


 アハハ。


 同じ理論なら『大人の言う自由は不自由』だな?


 アハハアハハアハハアハハ


 共感でしか自分を保てない


 それなのに


 希望が消えない


 どうしてかは知らないけれど


 90ぱーせんとの悪意は、俺の中では善意と同じで


 10ぱーせんとの恐怖は、俺の中では踏ん張る力なのだ


 変な人間だ


 人に感謝されると嬉しいけれど


 いくらでも誰かのためになりたいとは思うけれど


 過去の嫌だった記憶から生じる気持ちは、


 消えず残り、


 全く別のベクトルに動いていたりもするのだから、


 やはり変だ


 変でいいのかもしれないな


 俺は、そうだ。


 変な大人になって見せよう。


 これまで抱いた悪意を裏返して


 誰かに優しくしよう。


 気持ちが悪いと罵られるかもしれない

 

 だが、考えて見な


 気持ちの悪くない人間なんて


 世の中いるのかね?

 

 死にたいと思うたびに


 生きる意味が浮かんでくるのだ


 俺に死ぬなというのだ


 生きていけと言ってくるのだ


 どうしてだろうな? アハハアハハ


 葬式に行って


 泣けもしなかった俺みたいな馬鹿野郎にさ


 どうしてあんたらは優しくしてくれたんだ?


 いまでも分からねえよ


 どうしたら


 あんたらみたいに生きていけるんだ?


 変わりたいよ


 変わりたいよ

 

 変わりたいよ



 見ててくれ、いや、見ないでもいいけれど、


 別に俺は仏教とでもクリスチャンでもないけれど


 あんたらが本当に星になったり、見えないだけで見守っているだけだとか


 本当に信じているわけでもないけれど


 俺の中には 


 あんたらへの感謝とやりきれなさがあるんだよ


 だから変わって見せよう

 

 だから勝手に言ってるよ


 いつか、いつか


 あんたらが想像もできないくらいでっかいニンゲンになってやるから


 俺が死ぬまでそこで待ってろ


 これは言霊だ。絶対に消えない想いだ。


 届け、未来の自分よ


 絶対に死なねえから、覚悟しやがれ馬鹿野郎

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

陰鬱な奴の歌う歌 黒犬 @82700041209

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ