第30話 ケンカしないで
「我はカグラ。妹はカナエ。もちろん
そうは言うが、見た目は普通だ。中学生に見えるくらい小柄だが、至って変わったところはない。あえていうならマロ眉が気になる。
けれども狼男のウォルフ達のように、人間の姿になれるのであれば、その姿も当たり前である。
篠宮は二人がオレンジ系炭酸ジュースを手にしているのを見て、そのジュースのペットボトルを手に取る。
つぎ足しながら、篠宮はカナエの方に向かって質問する。
「カナエちゃんも姿が変わるのかな?」
するとカナエはツンとした態度で言い放った。
「あたりまえじゃ。αとは違うぞ」
割と大きな声だったので、篠宮は驚いた。明らかに目の前にいる六姉妹を
「よせ、今は
隣のカグラが制したが遅かった。
篠宮の背後にゆらりと立ち上がる影。
彼が恐る恐る振り向くと、明らかに怒りのオーラを纏った
「今のはどういう意味かしら?」
カナエは座ったまま、ふん、と鼻を鳴らし、口の端を曲げた。
「役立たずのαとは違うと言うたのじゃ」
「何ですって⁈」
せっかくの宴会が台無しになると不安に駆られた篠宮が、慌てて二人を止めに入る。
「ま、ま、落ち着いて一花ちゃん」
「先生はβの味方なの⁈」
「どっちの味方ってんじゃなくて……」
「出来損ないの肩を持つ事はないぞ、篠宮とやら」
カナエの薄笑いに
「出来損ないって何よ⁈あなたなんてバケモ……」
篠宮が慌てて一花の口を塞いだ。
ふにっと柔らかいくちびるだ。
いや、そんな感触を味わっている場合ではない。
今度は二花が口を開いた。
「あなたなんてバケモ……」
「ダメだったら!」
篠宮は空いている手で二花の口を塞ぐ。
しかし続いて三花が繰り返す。
「あなたなんてバケモ……」
「わーっ!わーっ!」
足か?足を使うしかないのか?
つづく
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