第20話 女の子の嫉妬は怖いですね


 篠宮は思わず自分の欲望を口にしてしまった。


 はっと気がついた時には、六人全員の冷たい視線がこちらにむけられていた。


「篠宮先生の好きなタイプって——」


「サクラ先生みたいな大人の女性なの?」


「それともあの蛇女へびおんなみたいな色気女子?」


「年増が好みなんだ——」


「それはともかく、私たちの前であの蛇女の事を気に入ってる言動は」


最悪サイアク


 あああ、失敗した!

 てか、なんでこんなにレディちゃん嫌われてんの?


 篠宮の脳内に様々な言い訳が浮かぶが、どれもうまくいかない未来しか見えてこない。


「あは、あはは……」


 引きつった笑いでそっと教室のドアに向かう篠宮に、怒りのオーラをまとった少女達がにじり寄る。


「えっとー、次の授業どこだったっけなー?」


「誤魔化すなぁ!!」





 カバン、ペットボトル、傘、ペンケース、テキストそして椅子。が、六個ずつ、篠宮に向かって投げつけられて来る。


「うわぁ、ごめん。そんなつもりじゃ……」


 走って廊下を逃げる彼の後ろから教室のドアも飛んで来た。


 それらかわしつつ、篠宮は彼女達の事を、サクラの教え子だけあるなぁ、などと感心した。


 逃げ足には自信がある。


 それに彼女らはβクラスのいる旧校舎が好きではないらしい。とっさに篠宮はそちらに逃げ込んだ。


 身をかがめつつ、スマートフォンを開くと、連絡先のアプリに六姉妹の情報が入っていた。それを確認してニヤける篠宮。


 よし、ここからはもっとスマートに連絡先交換をしていこう。


 篠宮は目標ターゲットをサクラとレディに決めた。




 つづく

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