第95話 恋人になった。
やって来ましたレイフログ。足腰立たないけど自分で歩いて行こうね。
はい、ルルちゃんとやることヤッて、帰って来ました。
ぺぺちゃんに許された時間は一日だけだったはずなんだけど、何故かもう二週間経ってるんですよ。不思議だね?
「とぼけてんじゃねーぞエロ猫が。盛り兎も満足したかよ?」
ぶっちゃけるとですね、私たちは二週間も腰を振っていた訳だけど、新規ダンジョンが生まれて王族が行方不明だった一年半もの大事件の当事者が、二週間も遊んでいて良かった訳ないんだよ。
「えへへ、盛って来たよぉ♡」
「ぺぺちゃんにエロ猫って言われた…………、ショック……」
「どんだけヤって来たんだよ。二週間って頭おかしいだろ。今のお前らにぺぺって呼ばれると何かローションになったみてぇでちょっと嫌だぞ」
「………………うん、実際頭おかしくなってたからね。それはそれとして流石に私も親友を有名ローション扱いはしないから、そんなこと言わないで」
「ノンちゃんをね、狂わせてね、食べてたんだぁ♡ 美味しかったよぉ〜♡」
「狂わされましたっ……」
「お前らなぁ……。オレぁ黒猫荘って場所知らねぇんだから、さっさと終わらせて案内してくれや。行ったことねぇからファストトラベル使えねぇんだぞ」
待っていたぺぺちゃんに案内されて、ダンジョン方面まで移動。テントがいっぱい立ち並ぶ領域の中、王太子が待つ豪華なテントに入る。
中には王子と王女が勢ぞろいしてて、その真ん中で王太子が待っていた。
すぐに話しを始めるかと思いきや、ミナちゃんがスススッとこっちに来て、ピタッとルルちゃんの横に着いた。
…………え、なんで私とルルちゃんのプレイを聞いてくるのこの子? それでなんでルルちゃん答えちゃうの? えっ、マジ?
ミナちゃんがボタボタと鼻血を吹き出す中、気にせず王太子が口を開いた。
「さて、会食以来ですか。お久しぶりです」
「えっ、嘘でしょイクシガンさん、このまま進行するの? 妹さんの状態見えてますよね?」
「ミナのそれは関わるだけ時間の無駄なので」
ミナちゃんは、百合好きの嗜好がダンジョンに落ちて以降爆発してるらしい。
私とルルちゃんのプレイ内容を事細かに聞いて、嬉しそうに鼻血をぶしゅぶしゅ噴き出してる。
これがこの国の王女なんだぜ? 終わってるだろう?
「さて、その鼻血娘は放っておいてください。今はお仕事の時間なので」
◇
概ね、良い感じにお話しが終わった。
と言うか、まぁ流石に王族だよねって感じだったよイクシガンさん。私、初めてこの国の王族に初対面から好印象抱いたよ。
さて、とにかく議題である。
お話しの論点を大きく纏めると、まず私達が居なかった時間の埋め合わせ。
当たり前だけど、私達がダンジョンに落ちている間も世界は時を進めてた訳で、そして私達は学生である。子供である。
その責任の所在は大人に持ってもらう訳だけど、責任が誰に帰属するのかに関わらず、私達が一年半もの間ずっと学業に触れてない事実は変わらないのだ。
一年半だ。一年半も止まってた。
一年生分留年ってだけじゃ話しは済まない。下手したら二年分も留年する事になる。
今のまま二学年には上がれないし、そのまま半年後に三学年に上がれる訳が無いのだから。
だからその処理について決まった事を色々と聞いたりするのが最初にあった。
次に、お礼。
私は王族の救出にマジでノータッチだった訳だけど、それでも多くの貴族の子供を救った事実は動かない。
だから崩落後に別れて私サイドに居た子供達の親は、それはもう私に対して凄まじい感謝をしてる。そのお礼をイクシガンさんが代わって伝えてくれた。
それと、私サイドに居たけど後半は主戦力と化したルルちゃんにも、やっぱりイクシガンさんから直接のお礼。
立役者の一人だしね。
ぺぺちゃん、ルルちゃん、レーニャさんの三人は、レイフログダンジョンのボスを討伐して王族の生還を決定付けた英雄なのだ。
だから血縁足るイクシガンさんからのお礼は、私に対する誰かの代わりじゃなく、家族として直接の物だった。
「国としても何か褒美を出したいところですが…………」
「あ、じゃぁミナちゃん経由で伝えるので、そう言う法案を通して欲しいです」
それがイクシガンさんとルルちゃんの会話だった。ルルちゃん、王族相手にも阿る事をしない大物幼女だよ。
「終わったねぇ……」
「ぅゆっ、おわったねっ♪︎」
そんな色々を話し合って、私達は改めて事件が終わったのだと一息ついた。
うん、えっと、一息付く前に二週間もぶっ通しでえっちしてたって事実は横に置いた後にフリーキックして彼方へ蹴飛ばすとして、とにかく終わりである。
現在は夜。王家から貸してもらったテントにルルちゃんと二人っきり。
いや、本当ならファストトラベルで黒猫荘に帰れるんだけどね、召喚獣もまだ大半がここに残ってるし、ぺぺちゃんから「お前ら今帰るとまた一週間とか盛るじゃねぇか。我慢してテントで寝ろや」とお叱りを受けたので、召喚獣の主としての責任も合わせて今日はレイフログでテント生活なのだ。
この世界のテントにも色々あるけど、借りてるのは大型の物だ。形式はあれ、日本の学校で運動会とかにも使われてる感じのタープ的な天幕を、四方をしっかり布で覆って中にベッドとか家具を入れた感じ。
下にも床材が敷いてあって、王族はテントを張るにもお金使うんだなぁとちょっと変な関心をした。
「今日からまた、日常編って奴なのかなぁ……?」
「いや、新生活編じゃないかな?」
「それもそっか」
私達は、無事に帰ってきた。けど、もう事件の前には戻れない。
小さな子供達は目の前で友達がすり潰される現場を見てトラウマを抱えたし、私もルルちゃんも一線を超えた関係になった。
まさか私も、前世ですら無かった処女喪失を異世界で達成するとは思わなかった…………。
まぁ、そんな訳なので、私達は日常に帰れるとしても、それは新生活であり、元通りの日常に帰る事は不可能となった。どうやっても事件の影がチラつくから。
「それでも、みんな幸せになれると良いなぁ。せっかく生き残れたんだから」
私はそれを、切に願う。
どうか皆にも、幸せを。
だって、私なんてもう、こんなに超絶プリティな恋人が出来て、既に幸せいっぱいなんだから。皆も幸せであるべきだ。
いやもう、本当、ルルちゃん可愛くて可愛くて仕方ない。
いつも巫山戯て「結婚しよ?」って言ってたけどさ、まさか本当にこんな関係になるとは…………。
でも後悔は一切ない。私の為にあれだけ必死になってくれたルルちゃんと恋人に成る。その事を幸せに思う事はあっても、後悔は絶対に無いだろう。
「…………えへへ、ノンちゃんっ♡ すーきっ♡」
「みゃぁっ♡ 私も好きっ♡」
しんみりした空気に耐えられず、ベッドのルルちゃんにギュッてされる。ふあふあでぷにぷにのルルちゃんから抱き締められて、可愛くて良い匂いがして、胸がキュンキュンする。
「あたし、本当にノンちゃんの恋人になったんだよね…………?」
「あはっ、むしろ今更嘘だったとか言われたら、私の方が泣いちゃうよ? 大好きだよルルちゃん♪︎」
見つめ合って、キスをする。
唇を何度も触れさせて、啄む様なキスをする。
「ぁぅ……、だめだぁ。ノンちゃん、あたし我慢出来ない…………」
「…………えへへっ、私も♪︎ 声、我慢しようねっ♡」
「ぅゆっ♪︎」
イチャイチャしてたらムラムラするのは当然なので、私はテントに遮音の魔法を使ってからルルちゃんとベッドに倒れ込み、まぁその後色々と楽しみながら眠りに着いた。
明日から、また平和な日常が始まる。
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