第55話 ノノン先生の魔法講座。



 魔法。それはジワルドで遊ぶプレイヤーのほぼ全てが関わる非常に重要な技術の一つである。

 近接戦闘に主眼を置いたプレイヤーでさえ、ほとんどの場合奥の手として魔法をいくつか用意して置くのが普通で、筋肉信者のテンテンさんさえも用意だけはしてる。……存在を忘れてそうだけど。

 魔法を本当に少しも覚えてないプレイヤーなんて、私は片手で数えられる程度にしか知らない。その筆頭は私に刀術を教えてくれた師匠なのだけど。


 あの人は、運営から賜った二つ名に内包されるネームドスキルが特殊すぎるのでそれでも問題無いんだ。

 師匠のネームドスキルは発動すると、師匠を中心にして数百メートルほど特殊フィールドを生成して独自のルールを強要する効果を持つ。

 そのフィールド内ではネームドスキル以外のあらゆるスキルが無効化され、純粋な技術のみで戦わざるを得なくなる意味不明なチートスキルだ。

 ネームドスキルの発動には特殊な詠唱が必要なんだけど、師匠が戦闘中にそれを口ずさむだけで敵対プレイヤーはダッシュで逃げる。絶対に勝てなくなるから。

 公式イベントではネームドスキルが禁止されたイベントもあるので、そう言う時は師匠に挑むプレイヤーも沢山いたけど、ネームドスキルがフリーで使える状況で師匠にPKを仕掛ける莫迦は、大抵酷い目に遭う。

 当たり前だよね。スキル無しで縮地が出来るようなガチの達人と、スキルも魔法も無しでどうやって戦えと言うのか。私だって本気の本気でやって五分だし、刀術に縛った戦闘なら百回やって一回も勝てない。

 あらゆる武器を使って師匠の意識の隙間を突いてやっと五割勝てるレベルの化け物に、特殊ルールを強要されて勝てるプレイヤーなんてほとんど居ない。

 PvPランキング一位の人がガチガチにメタを張って何とか勝てる位じゃないかな?


「はい。そんな訳で、ルルちゃん達にも魔法を教えたいと思います」


 そんなこんなで、パイセンに追われてた女の子三人は何とか私たちに合流して、次に寄る町まで同行させて欲しいと土下座されたので許可をした私は、私が使った魔法にお目々をキラキラさせた幼女達に魔法を教えながら旅路を往くことになった。

 と言っても攻撃用の魔法を教える訳じゃなく、私が旅の間に使ってる着火魔法とか整地魔法とか、水を出す湧き水魔法とかを教える予定だ。


「はーい!」

「魔法、魔法だよお姉ちゃ……」

「学園でも二年生からなのに、良いのかなぁ……。でも嬉しいねぇ〜」

「魔法を覚えたら、お金いっぱい稼いで孤児院のみんなを楽させてあげられるのっ!」


 ジワルドの魔法はレベルをあげたり、モンスターを倒したり、特定のアイテムを使ったりすると手に入る欠片を組み合わせる事で呪文を組み上げて使う。

 ただ、最初に使う欠片は誰もが最初から持っている。

 つまり極論、誰でも魔法を使えるし、誰だって魔法使いになれるのだ。

 でも実際はそうならない。この世界でも才能がある人しか魔法を使えないとされている。学園でも教えはするが、みんなが使えるだなんて思ってないのだ。

 それは何故か。答えは欠片を持ってても使い方を知らないからだ。


「じゃぁ魔法の基本を教えるね。あくまで私のやり方だから、この先学園で教える方法と違っても、学園に文句とか言わないでね?」

「「「「はーい!」」」」


 長閑な街道を往く。合流した女の子三人はこの六日で減った荷物の空きスペースに乗って、レーニャさんが居るポチ荷車に居る。


「魔法には、欠片と呼ばれる呪文の断片を自分で組み上げて呪文を作って詠唱する必要があります。欠片は深度を深めたり、魔物を倒すと自分の中にいつの間にか手に入ってる不思議な物ですが、最初に使う簡単な欠片は、誰でも最初から持っています」


 私がショートカットせずに唱える呪文によく使われてる《火よ》とか《水よ》はまさにソレで、誰もが最初から持ってる欠片である。

 そう多くは無いけど、《火よ》《水よ》《風よ》《土よ》《光よ》《闇よ》の属性子六個と、《灯れ》《湧け》《吹け》《畝れ》《照らせ》《遮れ》の半属性子六個。そして《穿て》《遮れ》《走れ》《纏え》の方向子四つ。

 計十六個の欠片が、誰でも最初から持ってる基礎の欠片になる。

 しかし、前述の通り持ってるだけで、普通は使い方なんか分からない。仮にルルちゃんが今「火よ灯れ」と口にしたとて、魔法は発動しない。欠片を適当に口にするだけじゃ、意味が無いんだ。

 魔法に必要なのは欠片の構築に必要な知識と、魔法を発動させるに足る魔力量と、魔法を制御出来る精神力。そして技術の四つが必要不可欠。

 そう、声に魔力を乗せた状態で欠片を口にする事で、初めて呪文になるのだ。


「なので、みんなは今から声に魔力を乗せる練習をします」


 ジワルドの中ならゲームのシステムが補助してくれるから初心者でも簡単に出来るけど、私はゲームの中の文献とか漁って読むのが好きだったのでNPC達の練習方法についても明るい。

 NPCがショートカットを身に付ける方法は知らなかったからレーニャさんに教える時に困ったけど、ただ普通に魔法を使うための訓練なら軍隊式も庶民式も辺境式も、全部頭に入ってる。


「みんなは魔力ってなぁに? ってとこから始まる訳だけど、そう難しいことは無いんだよ。魔力は魔法に必要な力だけど、なにも魔法にしか使わないってことも無いから」


 いや、基本的に魔法にしか使わないんだけど、そもそもジワルドの設定を掘り下げると、魔力は魔法のためのエネルギーですらないことが分かる。


「魔力は元々、人に備わった力なの。魔法はそれを利用してるだけで、魔力は魔法専用の力じゃない。まずはそれを勉強しようか」


 例えば大きい怪我ほど早く治ったり、有事の際に信じられないほど膂力が出せたり、様々な肉体的な恩恵を発生させる人に備わった力。それが魔力であり、誰しもが無意識レベルでなら魔力を運用して生活してる。


 大きい怪我は、傷が大きくて痛いからこそ、人は一番それを気かける。だから無意識レベルで魔力が傷を癒し、結果的に小さな怪我より治癒の効率が良かったりする。

 有事に働く火事場の馬鹿力もそう。人がそう強く願うから、無意識レベルで魔力を使ってるのだ。魔力とは元々そんな働きをする人の機能でしかない。


「だからね、兵隊さんが魔法の訓練を始める時は、自分の喉をナイフで傷付けて、傷を癒そうと無意識に魔力を集めてしまう習性を利用して声に魔力を乗せる訓練をするの。…………ああ、当然みんなにそんな危なくて痛いことはさせないよ。他の方法を使うから」


 声に魔力を乗せる訓練は、要するに喉、そして声帯に魔力を集めるところから始まる。

 それは軍隊式みたいに喉を傷付ける方法が一番早くて効率的だが、私が幼女の体に傷を付ける訳ないだろ!


「まずは自分の喉を強く押さえたり、抓ったり、いつもとは違う感覚を喉に与えて無意識で魔力を集めるところからだね。それから意識的に魔力を動かせるまでになれば、欠片を呪文にできるから」


 軍隊式なら平均で一日。今みんなにやらせてる庶民式なら三日もあれば魔力を声に乗せる程度は出来るようになる。


「じゃぁ、用意した器に向かって『水よ湧け』っていいながら、自分の喉をモニュモニュしてみてね」


 馭者台に座りながら、馬車の中に声をかける。

 ベガは馭者台に誰も居なくったって勝手に進んでくれるけど、馭者台に誰も乗ってない馬車とか傍から見たらホラーだからね。幼女四人が魔法の練習をするなら、必然的に私が馭者台に座ることになる。


「……《みずよ、湧けぇ〜」

「みずよ》《わけ……」

「湧けー!」

「ルルちゃん、湧けーってだけじゃ、魔法にならないよぉ〜」


 確かに湧けーじゃないよ。

 ルルちゃんにクルリちゃんが言うように、欠片は文字通りでしかない。最低でも二つ揃って初めて魔法になるので、《湧け》単体にどれだけ魔力を込めたって魔法にはならない。

 最低でも絶対に二節は必要なのが、ジワルドやこの世界の魔法に関する絶対ルールだ。


「うーん。声に魔力が乗ったり乗らなかったりだねー。たまにまぐれで発動することもあるけど、結局意識して欠片を使えないなら、使いたい時に魔法が使えないし、成功じゃないからね」

「「はぁ〜い」」

「難しいの……」

「……ノンちゃん、こつとかないのー?」

「コレばっかりは無いねぇ。コツコツやるしか無いよ」


 言うなれば、鼻や耳を自分でピクピク動かせるような感じだ。

 あれは意識して出来る人は簡単に出来るし、出来ない人はなんで出来ないのかも分からず、取っ掛りを探すところから始めるだろう。まぁあんなの練習する人が居るのかは知らないけど。

 そして一度出来たなら、なんで今まで出来なかったんだろうってくらい簡単に出来てしまう。

 普段動かさない体の機能を意識して動かすなんて、出来るまでは難しいけど、一度出来たら後の再現は簡単なのだ。

 他にも、男の人なのに凄い可愛い女の人の声を出せる人とか、あれは弛まぬ練習の賜物だ。

 人には自分の意思で動かせる筋肉と勝手に動くしか無い筋肉があり、腕や足の筋肉は前者で、心臓を動かす筋肉なんかは後者に当たる。

 で、喉の筋肉は自分で動かせる筋肉なんだけど、人は普段意識してその場所の筋肉を動かすなんてしないから、動かし方が分からない。どんな風に力を入れるとどこの筋肉がどんな動きをするのか、自分じゃ分からないのだ。

 自分で動かせる筋肉なのに、動かし方が分からないから声を自由に変えられない。だから凄い練習をした人は男の人でも可愛い声も出せるし、女の人も素敵なハスキーボイスで歌ったり出来るのだ。

 魔力も一緒で、動かし方を知らないだけで、知れば簡単に動かせるようになる。それまでが大変で、練習するしかないんだ。


「……《水よ》《湧け》ぇ! あっ、できたの! 出来たのぉー!」

「おお、出来たね。じゃぁその感覚を忘れないように、喉を押さえなくても出来るように頑張ろうね」

「なの!」


 予想通り、ネネちゃんが一回マグレで魔法の発動に成功したが、それは魔力の動かし方を知った訳じゃなく、さっきの例で例えるなら、男の人が裏声で高音を出してたら一瞬だけめちゃくちゃ可愛い声を出せた感じ。

 自在に筋肉を動かせるわけじゃないから、再現が出来ない状態だ。


「がんばるのー!」

「がんばれー」


 私は必要も無いのにベガの手綱を握ってプラプラと揺らしながらネネちゃんを応援する。ベガもチラッと振り返っては私に優しい眼差しを向けてくれる。

 ネネちゃんのマグレ発動に触発された他の三人も、この練習で間違いなく魔法が使えるようになる証拠を見せられてやる気を出した。

 ふふ、がんばれがんばれ幼女たちよ。


 ◇


「で、できたっ!」

「んお?」


 お昼頃までみんなが頑張って、そろそろ馬車を止めて休憩かなって時にポチ荷車の方から声が聞こえた。

 併走するポチ荷車の方を見ると、例の女の子三人のうちの一人が、自前のコップ的な器に水を出してる様子が見えた。

 ふむ、聞き耳系のスキルでこっちの様子を盗み聞きしたな?


「練習は順調ですか?」

「ふぇあっ、ごごご、ごめんなさいっ」


 併走するポチ荷車の中に声をかけて、少し先行しつつ幌馬車みたいになってる荷車の中を覗くと、喉に赤い線が見える女の子と、その女の子を見守って驚いてる二人がいた。

 盗み聞きを咎められたと思った女の子は真っ青になって謝るが、私は別に気にしてない。

 この世界じゃ魔法の技術講師なんて大金を払ってやっと享受できる高位教育だけど、私お金とか腐るほど持ってるし。


「気にしなくて良いですよ。……それより喉の傷、ちゃんと治してくださいね?」


 彼女はどうやら、盗み聞きした内容から軍隊式を試したらしい。確かにそれなら今頃は魔力の取っ掛りくらいは見つけたかも知れない。

 でも、ヤル気を出しまくってる幼女達にそんなの見せられたら、真似されるかも知れないからそこだけは注意して欲しい。


「あぅ、ごめんなさい。包帯巻いておきます」

「薬とか無いんですか?」

「えと、すぐに傷が塞がるような高いものは持ってなくて」


 巣窟産のポーションはもちろん、専門の錬金術師や薬師が作ったポーションも高いからねぇ。

 彼女たちは見た感じ、装備もわりと貧弱な部類なのでお金も心許ないんだろう。

 ……まぁ、この短時間でちゃんと魔法を発動させるには、軍隊式でも本気の本当で頑張らないと無理だろう。そんなに頑張ったなら、ちょっとくらい助けてあげるよ。

 私は頑張る人が嫌いじゃないからね。


「《光よ》《汝は優しき癒しなり》《奇跡を祈り》《羽ばたく蝶よ》《その悲しみに届き給え》」

「…………うっそ、傷がっ」

「……ノノンちゃんの詠唱、いつ見ても聞いても凄い綺麗よね。……見習わなくちゃ」


 いつか貧民窟で使った範囲回復の単体アレンジバージョンで女の子の傷を癒す。

 それを見たレーニャさんは呆れと羨望が混ざったような褒め言葉を口にしてくれるが、レーニャさんの詠唱だって綺麗だよ?


「…………魔法って凄い」

「その凄い魔法の第一歩、おめでとうございます。……お祝いに、昼餉もご馳走しましょうか?」

「ぇあ、えっと、…………いいの?」

「まぁ、旅ももう少しで終わりますし。予定では明後日に到着する大きい街でも食料買い足せますし、遠慮しなくて良いですよ。残った材料だとそう大したものは作れませんけど」

「嘘よ。嘘だからね。ノノンちゃんの『大したことない』は信じちゃダメよあなた達。あの子の作った料理が美味しくないわけ無いもの」

「レーニャさんの期待が重い……」


 まぁ美味しくは作るけどさ。

 可愛い可愛いルルちゃんたちに「美味しくない」とか言われたら立ち直れないもん。素材が貧相でも本気で作るに決まってるじゃん。

 サワードウは仕込んであるから、柔らかいパンは出せるし、あと戻した干し野菜とベーコンがあれば簡単なサンドイッチくらいは作れる。

 腸詰とジャガイモに干し野菜を使ったポトフも作れば、旅の間に食べるお昼としてはまぁまぁ豪華でしょう。


 そうしてお昼。


「あの、改めてお礼を……」

「助けてくれて、ありがとね!」

「あと魔法のこと、盗み聞きしてごめんなさいっ」

「いえいえ、気にしないでください。あ、ポトフお代わり要ります?」

「「「要ります!」」」


 料理をササッと仕上げてお昼ご飯。この世界風に言うと昼餉。

 私は地均しした場所にテーブルなどの準備をして料理を広げ、早速みんなで昼食を食べてる。

 王族組から向けられる「え、分けてんじゃん。こっちにもくれよ」みたいな視線を無視していると、女の子たちに改めてお礼を言われた。


「私はリルカ」

「ボクはコロックだよ」

「……アケーナ」

「ご丁寧にどうも。私はノノンです。こっちの可愛い子がシルルちゃんで、そっちの可愛い双子ちゃんがアルペちゃんとクルルちゃん。それと金髪の可愛い子がネネちゃんです」

「私はレーニャよ」

「…………もしかして、万魔の麗人様ですか?」

「その二つ名、好きじゃないの。出来ればレーニャって呼んでくれる?」


 自己紹介しつつ挨拶を済ませると、女の子たちから改めて魔法を教えて欲しいとお願いされたので快諾。


「でも、レーニャさんに教わってもいいんじゃ……?」

「いえ、ノノンちゃんに教わった方が良いわよ。私もノノンちゃんの講義聞いてたけど、私も知らない魔法理論とかも混ざってたもの。……あなた達、ノノンちゃんに教われるのって、ものすんごい幸運だからね?」


 レーニャさんは軍隊式とか庶民式の魔法練習を知らなかったそうだ。

 それと魔力が元々魔法の為の力じゃなく、人に備わった機能だって所も初耳らしい。

 というか、レーニャさんはエルフだから魔力を声に乗せる初歩の初歩なんて、物心ついた時から出来たそうだ。なので、ゼロから教えるのは得意じゃないらしい。


 そんな話しをしてると、向こうのグループからハル何とか王子が取り巻きを置いて一人でコッチに来た。何か用かな?

 それを見たレーニャさんは盛大に舌打ちをしたのでちょっとビックリした。レーニャさんってそんなに貴族とか嫌いだっけ?

 …………ああ嫌いだよね。あのテティとか言う莫迦に人生ぐしゃぐしゃにされかけたんだし。


「あの、ノノンさん……」

「どうしました?」

「えっと、僕たちにも魔法を教えてもらったりとかって……」


 言いづらそうにモジモジするハル何とか王子は、自分たちにも魔法を教えて欲しいと言う。

 ミナちゃんとハル何とか王子、それと貴族キッズの三人組は二年生なので、もう学園で魔法を教わってるはずなんだけど、まぁ別に断る理由も無いか。


「ねぇ王子様? 今回そっちは、あくまで付き添い。ノノンちゃん達が自分で解決出来ないような揉め事が起きるまでは不干渉が鉄則じゃなかったかしら? 私は組合で護衛を受ける時にそう説明を受けたんだけど?」


 王族は嫌いだけど、大した手間も無く恩を売れるなら一考の余地くらいあるかなって思った私を尻目に、結構な棘を見せるレーニャさんがハル何とかに噛み付いた。

 ちなみに、私はレーニャさんに直接護衛を頼んだけど、仕事として受ける過程で探索者組合シーカーギルドを通してる。

 このイベント自体が毎年の事なので、組合も慣れたものだったし、必要な情報とかも組合に蓄積されてるみたいだったのでそうした。

 ただ、今回の二年生がくっついて来る方式はいつもと違うので、その辺の情報共有は学園側と徹底したらしい。

 なので、レーニャさんがそう言うなら、そう決まってるんだろう。

 私はそこまでガッチガチに決まってるとは知らなかったけど。


「えっと、いや、あの…………」

「不干渉を決められた立場で、私情によって干渉するのはどんな理由があってなの? 私、これでもノノンちゃん達の護衛だから、いくら同じ学園の生徒だと言っても、護衛対象に対して不測の干渉を受けたなら黙ってられないわ?」


 何やら、私を置いて不穏な空気がレーニャさんから滲み出る。

 私はポトフを味わいながらそれを見ていた。


「…………ポトフおいしっ」


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