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違う、その子はあなたのことが好きでそんなウソをついたんだって…ほら、その子は本当は悪い子で、あ、あぁ違う、違うんだってば…
「――はっ‼」
…ん? あれ、ん? どこ…?
ぱちぱち、と二度瞬きをして理解した。あぁそうかここは保健室だ。倒れちゃった男の人を連れてきてもらって、いつの間にか私、寝ちゃってたのか。寝不足とはいえ、それはさすがにダメだよね…人として。で、様子はどうかな? 先生は大丈夫だって言ってたけど――「へ」
枕元に顔を向けると、ばちっと目が合った。しかも寝ていない、ベッドに座ってこっちを見ている。
よかった!
「目が覚めたんですね!」
「は」
「あ~よかった! 頭を打っているだろうからってすごく心配で」
「の、割にはよく寝てたように見えるけどな?」
「え」
そ、そうなの、かな?
「人にエルボーかまして気絶させたのに」
「や、あれは偶然! それに倒れた拍子に頭を打ったみたいですし」
「あんたが急に振り返るからだろ」
「す、すみません…」
でもだって、後ろにいるだなんて本当に気付かなかったんだもん…! 桜に気を取られていたかも、しれないけど…
「あんた名前は」
「わ、私ですか⁉」
「この状況であんた以外いるかよ」
「そ、そうですよねぇ」
薄暗いからか、キッと睨まれた空気は冷たい。外はあんなに暖かそうだったのに。
「東、天音です。このお詫びは必ず…」
「あ、そ。俺は南律ね。はい、じゃ、これ」
「これ?」
ずいっと目の前にスマホが突き付けられる。にっこりと笑った顔が逆に怖い。
「とりあえず、連絡先交換しよ?」
出会いは出会いでも、こういうのはちょっと…
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