第14話 妖精の能力

「じゃあ、レアリティ8ってことは強いってことか?」

「まあね!」


 えっへんと胸を張って言う。ずっと気になっていたんだが、服の布の面積少ないんだよな。ビキニとスカートだけって、よく見れば意外に胸もあるし、少年とかもプレイするんだから服とか気にしろよ。


「それでね、私の特殊能力、このゲームではアビリティって言うんだけど。ちなみにアビリティはレアリティ5以上の召喚獣にしかないんだけど。私のアビリティは飛行と鑑定の2個もあるんだよ!凄くない?!」


 全然強くないし!しょうもな!飛行に関しては妖精って飛ぶイメージあるし。1個にカウントするなよ。戦闘に一切関わるアビリティは持ってないみたいだ。でも一応聞いておこう


「戦闘の時はエリーは何をしてくれるんだ?」

「後ろで敵の名前とか弱点教えたり、ポンポン持って応援したりとか」


 後半は戦闘と全く関係ないが初心者の俺的には未知のモンスターや、知らない物を教えてもらえるのは有難いな。それに召喚は残り2回あるし、エリーは喋る図鑑か何かと思えば…よし、そう思おう!


「よろしくな!これからの冒険一緒に頑張ろうな!エリー!」


 そう言い右の人差し指をエリーの前に持っていく。意図を察してくれたエリーが俺の人差し指を右手でギュッと握る。


「こっちこそよろしくね、マリー!なんだか私と名前も似ているし上手くいきそうな気がするね!」

「ああ、そうだな!」


 手を離し、そろそろ2回目の召喚でもしようかなっと考えていると


「ねぇねぇ?どうしてマリーは女の子なのに、自分のことを『俺』って言うの、ただの俺っ子?」


 どうしようかな。俺の記憶喪失の話とかマリアの話をしようか。今後ずっと一緒にいるだろうしな。なんか隠しごとはしていたくないな。


「重大な話を何個か言うんだけど、エリー口固いか?」

「え?固い方だと思うけど。マリーが他の人に言われたくない事を言いふらしたりしないよ。絶対に」


 先ほどの小芝居をしていた顔とは打って変わって真剣で真っ直ぐな瞳で答える。俺はマリーを信じて、【Ner Equip Adventure World】をする経緯と『覚醒スキル』『妖精女王の加護』『EXスキル』について全て話した。


「ウソ……」


 話し終えるとエリーは目を見開き固まる。やっぱり記憶喪失の話はダメだったか?それに美少女が実は中身が男っていうのもショックだったのかもしれない。


「お、お〜い、エリー?大丈夫か?」

「え!?あ、うん!大丈夫!なるほど…。凄い事を沢山聞いちゃったよ。言いたい事は沢山あるけど、このゲームをそんな理由でプレイしてるのマリーだけだよ」


 やっぱりちょっと引いてんじゃないか。本当に話して良かったのかな?と少し後悔している。


「まず、俺って言う女の子は少ないから、私的な解決策を言って良い?」

「解決策も何もないだろ。『俺』を『私』に変えるしかないだろ」

「名前のところのマリーって名前の後ろに『オレ』って入れたら『マリー・オレ』良くない?この名前にしたら自分の名前を言ってるんだなって思われるよ」


 なんか、カフェオレみたいでダサいな。


「ちょっとダサくないか?マリー・オレって」

「そうかな?凄く名案だと思ったのに。でも急に『私』に変えれないでしょ?それにゲーム中は『私』でリアルを『俺』に分けたりするの面倒くさくない?試しで良いからやってみようよ〜」


 う〜ん、嫌になったら元に戻せばいいし…冒険に影響する事でもないし良いか


「分かったよ」


 メニューを開き、名前のところを押す。が何も起きない。あれ?こうじゃないのか?


「ステータスを開いて、自分の名前を押したら文字を追加できるよ」


 いつの間にか俺の顔の真横でステータスを見ながら教えてくれた。召喚獣も俺のステータス見れるんだな。

 ステータスを開いて名前のところを押すとキーボードが現れて文字が打てるようになった。


「オ…レと…」


 文字を打って名前を変更し終える。これで今後は人前でも自分のことは俺って言えるな。

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