第3話 診断と現実

女性が部屋から出て行き、暫くして医者の先生が来て話をした。その後、検査をして医者のところに話を聞きに行った。


「遊吾君は、事故の際に強く頭を打った事による一時的な記憶喪失だと思います」


自分のレントゲンを見ながら医者は言う。あと遊吾というのは自分のことらしい、検査の待ち時間の間に最初に会った女性が母親だと自己紹介してくれて、自分の名前が『日之内遊吾』と言う名前だと教えてもらい、年齢は『16歳』だそうだ。自分の横で母親が悲しそうな顔をして聞いている。


「遊吾の記憶は戻るんですか?」

「記憶が戻るかどうかは何とも言えません。ですが、当然ふっとした拍子に戻る事もありますし、記憶に刺激を与えるような何かをすれば戻るという事もあります。ご家族の方が協力して遊吾君の思い出の話や物を見せたりするのが良いかもしれませんね』


その後、母親と医者は記憶の戻し方について話し合っていたが、それを他人事のように聞きながら医者との話は終わった。

病室に戻り、母親に明日また家族を連れて見舞いに来る事を言われて、母親は家に帰って行った。長い1日が終わった。

母親が家族を連れて自己紹介をしに来てくれた。たしかに家族を見れば何かを思い出すかもしれない。

 


次の日の午後、母親が家族を連れて自己紹介をしに来てくれた。

 母親が、自分には母、父、妹が2人と海外に住んでいる兄がいることを教えてくれた。父親は見た目は怖いかんじだったが『自己紹介』と『事故入院』でダジャレを言い、部屋の外にいる人の声が聞こえるくらいスベって静かになる。以外に明るい人だった。妹2人は中学1年生と小学4年生で下の妹は自分にしがみつき、服がびしょ濡れになるくらい泣いてくれた。上の妹は逆に何も話さず見つめてくるだけだった。あと1日入院してから退院することなどの話をして、父親がダジャレを言い母親が無視して妹2人に泣きつく父親を見たり、母親がリンゴをウサギに剥いたのを父親と妹と取り合ったりして騒がしい1日が終わった。


お母さんが去り際に、海外にいる兄が明日お見舞いに来ることを教えてくれた。

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