第二部
序章
アメジシスト王国の辺境にある領地、ディアロ領の領主の屋敷は、とても広大だった。
代々の領主たちは、昔にあった戦の名残で広大な城のような屋敷を持て余していたが、ある代の領主が、要塞のような造りをした城のような屋敷を改築した。
そして、平和になったことで不要になった広大な土地に庭園を作り庭園の管理のため、庭師の一家を敷地の中に作った小さな家に住まわせるようになっていた。
そして現在。
庭師の夫婦に、男女の双子が生まれた。
双子は両親の愛情を一身に受けてすくすくと育っていった。
兄は、とても利発で頭のいい子供だった。そして、不思議なことに両親が教えていないのにいつの間にか剣や弓などが扱えるようになっていたのだ。
兄は、庭師の仕事を手伝う傍ら、森に入り、時々家族のために、狩りをしてくることもあった。
その兄は、双子の妹を溺愛していた。
それはもう、目に入れても痛くないと言うほどの溺愛ぶりで、両親も兄の唯一の欠点はシスコンすぎることだと笑っているほどだった。
家族は、庭師として領主家に仕えているが、新しい領主が来た時に挨拶をしたくらいで、普段全く接触することがなかった。
領主は、基本的に王都にいるか、領地を見て回っているため、庭園で仕事をしていて出会うことはなかった。
双子が、12歳になった時に妹が兄にあることをおねだりした。
兄は、初めてのおねだりに、内容を聞く前にデレデレの表情で快諾した。
そして、その翌日から両親の仕事を手伝う傍ら双子の兄から剣や弓を習う日々が始まったのだった。
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