城址公園の黄昏時への応援コメント
工藤行人様
こちらは、パリに居られた松宮智彦さんと菜穂子さんですね! 静風(きよかぜ)吹く日本の風景に馴染む彼等の姿と会話が、抒情的に伝わってまいります。お堀に敷き詰まった花びらの描写は圧巻です。
「私たち散っちゃったの?」と、咲く前の蕾のような、あるいは花の盛りを見過ごしたかのような彼等の会話は黄昏時の切なさで、其処に予想外のキャストと小道具が乱入して「自分は確実に沈む」と予測する智彦さんの心。何処に戻ればいいのか分からなくなってしまった嫩者たちの心許なさが、浮き彫りになる物淋しい春の絵を見せてもらえた気持ちです。工藤様が描かれる現代的な絵も、また素敵でした❤失礼しましたm(__)m
作者からの返信
宵澤樣
お気付き下さり有り難うございます。その通りです、リュクサンブール公園から今度は某城址公園に二人が戻って参りました。拙文を丁寧にお読み下さる方(特に我が「語彙の型録」をご愛読下さる方)への、せめてもの感謝を込めたささやかな「おまけ」の意味合いもありますので、そのようにお納め下さいますと幸いです。智彦・菜穂子の物語は、他にも別の公園に場所を移してのものが実はまだ幾つかストックであるのですが、今次の我々に思い掛けず与えられた「創造的休暇」を利用して、未だカクヨムではお目に掛けていない別の拙文も整理した上で、この際、同じシリーズとして纏めて仕立ててしまおうか、などと思案しているところです(頓挫するかも知れませんが……)。
それから、花筏の描写、お褒めに与り嬉しいです。カクヨムでの公開に際して補筆こそ施しておりますが、実はこの「春の終わり」は、思うところあって6年前に私が初めてネットで公開したいわば処女作でして、その中でも花筏の描写は、当時、渾身から物した描写であっただけに感慨も一入です。また「予想外のキャストと小道具」は実は私の創発に成るものではなく、紹介文にも記しました通り、即興小説バトルのお題と必須要素の「無茶ぶり」あればこそ偶発したものでして、そういった「制約」がなければ、私の中から自ずと発する類のものではありませんでした。それが意外性という形で奏功しているのであれば、案外、「制約」を掛けられて結晶した散文というのは、作者当人の持つ力量を超えて別の可能性を引き出してくれるのかもしれませんね。
追伸
昨日の「豊穣―」の一気読み、ビビりました! 「しっかりと地に足と♡をつけて参りたく……」とのお言葉も有り難く、また、宵澤さんのご健脚に踏破されてしまわないよう、言葉の海陸を今後も能うる限り拡げて参る所存です(けど、早晩、踏破されてしまいそうな予感も致しております……)。
ともあれ、今後ともお付き合いの程、伏してお願い申し上げます。
城址公園の黄昏時への応援コメント
桜短編文庫、ご参加いただきありがとうございます。
城好きとしては目に浮かぶような見事な花筏の描写に浸りました。
やはり、足場には石垣を組み、その上に桜を植えないといけませんね。
通じて面白い比喩でした。
作者からの返信
書捨御免樣
初めまして。桜短編文庫の企画に(黙って)参加させて頂きました工藤行人です。その節は失礼致しました。また、此度は拙文に☆と応援コメントを下さり有り難うございます。
御作の「短編 同志のさくら」、歴史ある学校が消えてしまうという、もの悲しさの漂う舞台設定も相俟って、去り往く淡い青春の最後の一齣として読み進めておりましたが、一転して中途で意想外にひっくり返り、え、と思わず小さく声を上げてしまいました。仕掛けがお上手ですね。
まだ確とは他の御作を拝読していないのですが、お見受けするところ歴史もの(近世でしょうか?)でご健筆を振るっておられるご様子。私も先週あたりから、徳川実紀に見える説話的断章をもとに寛政年間を舞台として想定した新作を書き始めておりまして、歴史ものに特有の「考証」という不如意に早くも出端を挫かれそうになっております……。
近いうちに、他の御作も拝読しに伺えればと思っておりますので、宜しくお願い致します。
編集済
城址公園の黄昏時への応援コメント
水面の花筏には飛び込めないけれど、智彦の「戻ろうか」の一言からは菜穂子への思いやりが感じ取れますし、その一言に対して、「どこに?」と応える菜穂子の一言からも智彦にそっと寄り添う情緒が感じ取れて、桜散る城址公園のお堀端で二人が並んで立っている光景に風情を添えていると思いました。
作者からの返信
中澤樣
此方にもコメント頂戴しておりました。有り難うございます。
拙文の殆どは描写ばかりで叙述が弱い傾向にありますこと、已にお気付きのことと存じますが、そのような中でも、造型された人物の心裡を推し量って追って下さり嬉しい限りです。
拾い上げて下さった「戻ろうか」「どこに?」ですが、改めて久方ぶりに再読してみますに、実はこれは随分と意味深長な遣り取りのようにも思われてきました。お堀の花筏は瀞んでおりますが、私の解釈には俄に揺蕩いが生じ始めております。著者自身の意識していなかったことに、読者の皆さんが気付かせて下さるところ、web小説サイトの愉しいところですね。
追伸:
御作、明日からお邪魔致します。