第12話「恐竜人間」
餓え《かつえ》最初に浮かんできたのはそれだった。
感情では無く、本能だった。
それも強烈に訴えてくる。
ただ、喰らわねばならぬ。
喰らえ!喰らえ!喰らえ!
ほら、目を開けろちょうど目の前に獲物が居るではないか。
恐竜人間が産まれた瞬間に来たメッセージ。
恐竜人間は、すぐに理解した。
喰らわねばならぬと。
だが、目の前の獲物はちょろちょろと逃げ回り、
恐竜人間の餓えを満たさせない。
イライラしていると、獲物が一気に沢山増えた。
獲物が増えて最初は喜んだ。
存分に喰える。
だが、すぐにもっとイライラする事になる。
喰った!と思った瞬間に、獲物が消えるのだ。
イライラが頂点に達した瞬間に、思わず2本足で立ち上がっていた。
すると急激に視界が開けた。
視界が開けると同時に新たな思考が生まれた。
イライラの元をただ喰らうのではなく、まず殺すのだと。
それから喰らえば良い。
イライラさせる元を根源から断ち切るのだ。
新たな思考を得ると、自分でも知らずに言葉を発していた。
言葉を得たのだ。
「殺す」
言葉として発してみると更に思いは強くなった。
殺さなければいけない。
殺さなければ……殺さなければ……
―どうやら沢山居るこのPreyは、《獲物》
―偽物fakeが混ざっているらしい。
―邪魔なfakeを排斥しなければ。
―紙?paper紙が弱い物は?
―fire?火?Aguni ?
一瞬の内に、恐竜人間の頭の中に膨大な量の情報が押し寄せてくる。
「ノウマクサンマンダバサラダンセンダンマカロシャダヤソハタヤウンタラタカンマン」
自然と口から出たのは、不動明王火焔呪だった。
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