4月17日 平和宣言
前回の続きです。
***
第三話
「この星の多くの生命体が新型ウイルスに感染しているようです! いち、に、さん、し、ご、ろく、うわあ! こっちへ来るな!」
「ニャア」
ゾン・ヴィラン・ド・サ・ガ星人に、長いしっぽの先が曲がった白猫が近づいている。
「すぐに退避しろ! 感染してないことが分かるまで2週間は母船に戻ってはならない! その間、離れたところから、できるだけ情報を集めるのだ」
「そ、そんな……」
「ニャア」
猫は冷めた顔で近寄ってくる。苦しいのか?
「ニャア」
遠くにいる猫も冷めた顔でニャアと言っている。ヤツはしっぽが短くて、曲がったところが丸まっているように見える。こいつらは助けを呼んでいるのか?
「ニャア」
表情一つ変えず、ニャアというだけだ。苦しくて、うめいているのか?!
「感染したとみられる生命体は冷めた表情でニャアという謎のうめき声をあげています!」
青い顔が血の気を失い、蒼白、つまり水色になっているゾン・ヴィラン・ド・サ・ガ星人が耳にしたのはさらに恐ろしい言葉だった。
「山ちゃん、
「
「ゆっくりしすぎたのう。
船を降りて陸に上がった
「大変です! 地球人もニャアニャア言っています! 彼らにも感染している模様。ここで確認した地球人は、全員ニャアとうめき声をあげています!」
全員! 母船では「全員」という言葉に皆が震撼した。
「ここは危険だ。すぐに退避!」
ちょっと待って! おいていくのかよ!
「ありゃ~、あんたあ、どしたんね。顔が真っ青じゃ」
「救急車じゃ」
「わし、市役所へ行ってくるわぁ。平和宣言を両市の名前で出そうかのう」
あ~あ、じいちゃんに見つかっちゃった。でも、きっとじいちゃんなら大丈夫。声をかけた人はみんな友達だから。
おしまい
***
へ : 平和へと
い : いつもニコニコ
わ : 和をもって
せん : 戦争放棄
げん : 厳正中立
ニャアニャア言う広島県とカギしっぽの猫がたくさんいる長崎県はもう大丈夫でしょう(笑)。
平和宣言は8月6日と9日に行われる平和記念式典で広島と長崎、それぞれ、市長が読み上げます。この内容、毎年考えられていて、とても大事なんです。今年はぜひ注目してみてくださいね。
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