幼なじみのお姉ちゃんじゃダメですか?
たつやん
プロローグ
「お、俺ずっと昔から美香のこと好きだったんだ!だから俺と付き合ってくれ!」
俺は現在、目の前で俺の部屋でくつろいでいる幼なじみで俺の初恋の相手である坂本美香に自分の想いを告げていた。
「えっ、春樹いきなりどうしたの冗談はやめてよ」
美香は俺の告白をいつもの軽いテンションで笑いながら返してくる。俺の告白をなんだと思ってるんだよ全く……まぁ確かにいきなり言われたらそう思うか。でも雰囲気作りとか分からないし仕方なくない?! 悪かったな! 今まで美香一筋だからこういうラブコメ的な奴慣れてないんだよ! だが今日の俺は一味違うんだ。見せつけてやるからな!
俺は美香の方へ一歩ずつ近づいていく。すると女子特有のいい匂いが香ってくる。
美香は贔屓目抜きでも結構かわいい部類だと思う。髪は肩にかかるくらいの少し茶髪のゆるふわ系で顔立ちは幼くて「守ってあげたくなる天使系女子」って感じ。
俺が美香を好きになったのはいつ頃だろう。もう覚えてないくらい前から好きだった気がする。だが俺には「付き合いたい」っていう感覚が分からなかった。
だが俺が中3の時、たまたま美香が廊下で告白されてるのを目撃したことがあった。そしてその時俺の心の中で「誰にも美香を取られたくない」っていう嫉妬心が心の中に湧いて、それ以来俺は美香と付き合いたいーー俺のそばにいて欲しい。そう思うようになった。
だが普段から近くにいるはずなのにこんな時だからか余計に意識してしまう。美香とは元々親同士が仲良くて3歳ぐらいから一緒にいるからこれくらいどうってことないはずなのに……これ恋心って奴か……だがもう俺は引くわけにもいかないんだよ!
そして俺はネットに書いてあった「奥義」を繰り出そうと美香の顎に手汗を一度服で拭いて手を伸ばす。
……そう皆さんご存知「顎くい」って奴だ。俺みたいな凡人がやっても効果あるかは分からないがやらないよりマシだろ……多分。
そして俺は死ぬほど恥ずかしいのを堪えて美香の顔を見つめる。そしてーー
「俺、本気で美香のこと好きなんだ。昔からずっと」
俺がいつになく真剣な表情で言うと、目の前の美香の顔がみるみるうちに真っ赤なリンゴのように赤くなっていく。これラブコメ展開的にはこういう時だたいヒロイン照れてるしもしかして……?! そんなことを思っているのも束の間、美香の顔はいきなり険しくなり、俺の予想はおおきく外れることになった。
「ごめん……気持ちは嬉しいけどわたし好きな人いるから。春樹の気持ちには答えられない。今日は帰るね」
「…………えっ? ちょっ、待って!」
そう言って俺が引き止める前に手から美香の顎は離れていきそそくさと俺の部屋を後にした。
「う、嘘だろ……」
俺ーー須藤春樹はずっと大好きだった幼なじみに告白したものの呆気なく振られてしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます