叙唱メモリアル:背徳の紅、無慙軌跡

@axlglint_josyou

背徳の紅

背徳の紅"プロローグ"

赤いコートの傷だらけな男は、大剣を背負う。

返り血と自分の血で、肌が汚れている。

黒い跳ねた髪から映る黄緑の瞳に感情は見えない。


賊を潰すのも罪人を散らすのも、ついでのような作業。

本当に必要なのは"情報"だ。

であれば、ソレがない敵に価値などない。

ただ無価値に死に絶えてもらう他ない。


死に絶えた賊を見下ろす瞳に感慨などない。


「・・・仕事は終わりか。」


無理やり動かした身体が代償として痛むが、気にする素振りはなく。

そのまま男は去っていく。


彼は英雄ではない。

彼は悪役でもない。

善人でも悪人でもない彼は、焔のような復讐者である。


男の名はイグニス=クリムゾン

生きる意味はただ一つ。

────総ては、この手で精算する為に。

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