第40話 季節は変わる
「お疲れ様でした。」
「お疲れっす。」
「お疲れ様~。忘れ物しないでね~。」
今は勤務時間が終わり着替えて帰るところだ。初日にしてはなかなかスムーズにいけたのではないだろうか。
アルバイト初日を完走した感想ですが...楽しいっすね。いつまでもできそう。
「それじゃ先輩。お疲れ様でした。」
「おう。気をつけて帰れよ。」
先輩とも別れる。
今の時間は大体6時半。薄暗い空が夏の終わりを実感させてくれる。
帰り道を歩いていると見慣れた姿を見つける。
「有希乃か?どうしてこんな所に?」
「あ、ユウ君!バイトお疲れ様!お昼ぶりだね!私は今運動中なの。」
「運動か。偉いな。毎日やってるのか?」
どおりで結構薄着な訳だ。薄着でほんのり汗かいている美少女が目の前に...。
もちろん思っても口に出すことはない。紳士ですから。
「それが恥ずかしい話毎日どころか不定期なんだよね...。なかなか続かないというか...。」
「あーわかる。俺もそういうことあるから。」
「本当?一緒だね!」
有希乃が夜空に輝く星のように嬉しそうに微笑む。
その光景に俺は恍惚としてしまう。
「...どうしたの?固まっちゃって。」
「い、いや、何でもない。そういえば...文化祭の準備進んでるのかなー?」
固まったことを指摘され、恥ずかしくて無理矢理話題を変える。
「い、良い感じに進んでるんじゃないかな?」
今度は有希乃が少したじろいだ。何かまずいことでも聞いてしまったのだろうか。
「有希乃こそどうした?大丈夫か?」
「うん。体調は問題ないんだけど...。」
「けど?」
「その、文化祭の時劇を家の親戚が見に来るんだよね...。」
「それがまずいのか?」
「従兄弟のお兄さんが少し私にべったりというか過保護というか...。」
「そ、それはお気の毒で...。」
「もう。他人事だと思って...。まぁそうなんだけどね。」
家は家族以外見に来ることはないからその点は安心...なのか?俺親戚から目の上のたんこぶ扱いされてないよね?確かめようがないが。
「まぁそんなにたいした問題じゃないから大丈夫だよ。」
「そうか。...おっと引き止めすぎたか。ごめんな。」
「ううん。ユウ君と話せて良かったよ。私は折角やる気出して走ってるからもう少し運動してから帰るよ。」
「もう暗いから気をつけてな。それじゃ。」
どれほどしゃべったのか分からないが俺のお腹は空腹を訴えていた。
さて、今日の晩ご飯は何だろうな。
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