第39話 初仕事
ある昼下がり、軽快なベルの音が今日の授業の終わりを告げる。
日直の感情のこもっていない号令をした後、俺は帰る用意をする。
そうしている間に有希乃がやってきた。
「ユウ君今日バイトだったよね?」
「ああ。すまないが今日は一緒に帰れない。」
「ううん。謝ることないよ。面接通ったって聞いて安心したんだから。胸張って行ってきてよ。」
「そうか。じゃあまた明日。」
「うん。バイバイ。」
有希乃と挨拶を交わしてからバイトに向かう。
実は何気に今日が初仕事だ。少し緊張するが頑張って少しずつ稼いでいこう。
そしてそれなりの距離を歩いて仕事場に到着する。
「最初はあんまり気にしなかったけどやっぱり長いな...。」
「お?来たか新人。」
ドアの前で独り言を言っていると後ろから声が。
振り向いてみてみると俺のバイト先の数少ない先輩がいた。
「あ、お疲れ様です。先輩も今からですか?」
「おう。そうだよ。...まだ空気も暑いな...。ささ、突っ立ってないで早く入れよ。」
「あ、すみません。」
催促されて扉を開ける。するとそこにはカウンターでうなだれている店長さんの姿が。
「だ、大丈夫ですか!?」
「ほっとけ。いつものことだ。」
「ああ。二人ともお疲れ様~。っていってもまたここから働いてもらうんだけどね~。」
店長さんは突っ伏したまま顔だけこちらに向けて話しかけてきた。
「そんなに暑いなら扇風機の1つでもつけりゃ良いだろうが...。」
「え~めんどくさいよ~。」
「はぁ...。行くぞ新入り。」
「は、はい...。」
そのまま先輩に連れられロッカールームに入る。
結構店長さんと気さくに話しかけていたがここで働いてどれくらいになるのだろうか。少し気になったので聞いてみることに。
「先輩はここで働いてからどのくらい経つんですか?}
「急にどうした?別に良いけど。そうだな...もうすぐ2年か。」
「ずいぶん長いこと働いてますね。掛け持ちとかはしてるんですか?」
「ああ。塾講師も片手間にな。」
「すごいですね。」
「んなこたねぇよ。暇なだけさ。...さ、行くぞ。」
店の制服に着替えて仕事に入る。
俺の仕事は主に接客だ。調理などはさっきの先輩がすることになっている。
早速客が入ってくる。ここは一発でバシッと決めてやる!
「いらっしゃいませ。一名様でしょうか。」
「お、君新しい子だね?ここへはよく来るから大体顔も分かるんだよ。お仕事頑張って。」
「ありがとうございます。それではこちらへ。」
やっぱりこういう店は常連客の方が多いのか。俺もいつまでいるかわかんないけど顔を覚えてもらうに越したことはない。
でもとりあえず目標金額まで頑張っていこう。
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