第34話 俺だって怒ります
夏休み終盤、俺は溜めに溜めていた夏休みの宿題を片付けていた。
「ぐっ!こんなはずではなかった...!」
今更悪態をついたところで時は戻ってこない。今まで俺得なイベントが多かったと思えば次はこれかよ...。
確か最後にやったのは美琴のところでか...。教える片手間にやってたようなもんだからそんなに進んでいない。
それを裏付けるように俺の目の前にはどっさりとプリントの山が。億劫になるので数えたりはしないが。
そろそろ本腰入れてやろうとしたところにドンドンと激しいノックが。タイミング悪いな。
仕方なくドアを開けに行く。そこには予想通りすみれの姿が。
「なんだよ。」
「どうしようお兄ちゃん!宿題が終わらないよ!」
俺唖然。ふっ...やはり血は争えないな...。
「お願い助けて!お兄ちゃん!」
「悪いな。俺もちょうどお前と同じことで困ってたんだよ。だからお願いは聞けない。」
「じゃあ一緒にやろうよー!私一人じゃ絶対途中で飽きるから!」
「仕方ない...。ほら、持ってこい。」
「やったー!お兄ちゃん愛してる!」
そうして宿題殲滅作戦が始まったのだが...、
「おいすみれ寝るな!今寝たら絶対終わんないぞ!」
「昨日寝不足なんだよ~もう少し寝かせて~。」
「おいどこ行くんだ?」
「ち、ちょっとトイレに...。」
「トイレ行くのに携帯はいらないよな?」
「あはは...。」
...これ俺いてもいなくても同じじゃね?いてもこのサボり具合。もうお手上げだよ兄さんは。
ここらで叱っておかないとすみれのためにならないよな...。ここは心を鬼にして...。
「...すみれ。今から10分あげるからそのうちにやりたいことをしてこい。ただし、それ以降しばらく出入り禁止な。」
「わ、分かったよ。」
「じゃあ行ってこい。俺は続けているから。」
少しビクッとしたがそれからすみれが動く様子はない。少し強めに言い過ぎたか?
「そ、その...ごめんなさい...。もっと真面目にします...。」
すみれがしゅんとした様子で謝ってきた。やはり少し言い過ぎたようだ。少し叱ってやるだけのつもりだったのだがこれは反省だな。
「いや、俺も少し言い過ぎたよ。ごめんな。でもちゃんとして欲しいという気持ちは本当なんだよ。」
「うん。それは分かるから...ちゃんとするようにするね。」
「そうしてくれ。じゃあ続きやるぞ。このままじゃ終わらないからな。」
「うん。早く終わらそうね。」
この後は順調に進んでいった。この調子なら学校が始まる前にはちゃんと終わらせられそうだ。
――最初からそうしておけって?それができたらちゃんとしてるっつーの。
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