第20話 水族館デート1

 しばらくして水族館に到着した俺たちは二人でチケットを買って早速入場。

 ...おお、なかなか大きくて雰囲気のある水族館じゃないか。


 「うわー!きれいだね!」


 「そうだな。あ、カクレクマノミだ。」


 「ほんとだー!可愛い!」


 有希乃さんはしゃぎすぎっす。もうね、周りの視線がすごいのよ。

 でもこんな一面もあったんだなとほっこり。


 「ねえねえユウ君!ジンベエザメ!ジンベエザメだよ!」


 「でっかいなぁ!他の魚が余計小さく見えるな。」


 ...かくいう俺も人のこと言えないかもな。はしゃぎすぎです。すみません。


 「そういえばジンベエザメって卵を外に出さずにに体内で孵化ふかさせるんだって。」


 「そうだったのか。知らなかったな。」


 さすが有希乃さん。博識っす。

 ...よし。ここは俺も魚に関する豆知識を、


 「じゃあ有希乃。俺から問題だ。ジンベエザメの寿命は一般的にどれくらいあるでしょうか?」


 「えーと確か...150年くらいだっけ?」


 「うぐ、正解...。」


 何で知ってるんだよ。俺なんか最近そのこと知ったばかりだぜ?

 もうちょい博識な方がいいかな...?帰って雑学でも叩き込んどこ。

 そしてしばらくいろんな魚を見て回っていると有希乃が、


 「ふう~お腹すいてきたね。」

 

 と言うのでふと腕時計を見れば12時を回ったところだ。

 そろそろ休憩した方が良いか。


 「そうだな。ここらで昼ご飯とするか。えっとレストランはここから...。」


 「あそこに案内板があるよ!あれに沿って進んでいけば良いんじゃない?」


 「ああ。そうしようか。」


 ――場面は変わって水族館内のレストランにて。


 「有希乃のオムライスおいしそうだな。そうだ、俺のハンバーグと少し交換しないか?」


 「これ?いいよ?じゃあはい。あーん。」


 有希乃が俺の前にスプーンを近づけてくる。

 これはあれだ。よく見る彼女からのあーんイベントだな。この俺もご享受いただけるとは!

 いいぞ!思う存分楽しむぜ!


 「あ、あーん。」


 「はい!」


 もぐもぐと飲み込む。


 「うーん。うまい!じゃあ有希乃。あーん。」


 有希乃は嬉しそうに口を開ける。

 しかしあれだな。いざやるとなるとかなり恥ずかしいなこれ。

 結構スプーンが震えていて落とさないか心配だったが有希乃は綺麗にキャッチ。


 「あーん。...うんおいしいね!」


 などとイチャイチャしていると館内放送が流れてきた。


 『本日午後3時から水の広場にてイルカショーを開演致します。この機会に是非足をお運びください。――』


 「イルカショーだって。行ってみようか?」


 「うん!そうしよう!」


 こうして有希乃との楽しいお昼を過ごしたのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る