第16話 あのデートを賭けた魂の戦い

 週明け、いつものコンビニ前。雨の中俺は有希乃を待っていた。


 「お、おはようユウ君...。」


 「お、おはよう...。」


 いかん...!とても気まずい!

 先週張り切りすぎたのが悪かった。有希乃も相当気にしているらしい。

 ここは俺、男としてなんとか話を盛り上げていかないと...!


 「とりあえずいこっか。」


 「う、うん。」


 「今日からテストだな。」


 「うん。そうだね。」


 「「...」」


 ...続かん!一体どうしろというのだ!

 え?もしかして付き合い始めて早速別れの危機ですかい!?冗談じゃねぇ!

 なんとかして心を開かせないと...。


 「そ、そうだ。テスト終わったら一緒にどこか出かけようか。どこがいいとかあるか?」


 「うん。そうだね。私は...水族館とかがいいかも。」


 お?いいぞ!この調子だ!


 「水族館ね!分かった!よーし!テスト頑張るぞ!」


 「ふふふ...ありがとうね。」


 「お、おう!」


 とりあえずなんとかなったようだ。良かったぁ~!

 このまま気まずいままだなんて耐えられないからな。

 仲良しが一番だ。うんうん。


 「ねぇユウ君。今日英語の試験あるけどちゃんとできるよね?この前のこと忘れたとは言わせないよ。」


 「ちょっと何言ってるか分かんない。」


 英語?ここは日本ですぜ。


 「そんなこと言ってる場合じゃないよ...。そうだ!今日の英語のテストで20位以内に入っていたらお出かけしてあげる。それまではお預けってことでどう?」


 「。」


 「おーい。ユウ君起きてる?」


 「はっ!?そ、そうだな...あっはは。」


 正直自信は無い。俺の普段の成績が大体50~60位くらいだからよほど俺に合った問題が出ない限りいきなり20位以内に食い込むことなんてできないだろう。

 そんな俺の心配を読み取ったのか有希乃が励ますようにこう言った。


 「何暗い顔してるの?大丈夫よ!ユウ君ならきっと食い込めるって!」


 「ああ、下向いてばかりいられないしな。ありがとう有希乃。俺頑張ってみるわ!」


 「うん!それでこそユウ君だよ!」


 かくして俺の有希乃とのデートを賭けた戦いが始まった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る