ノー・タイトル・ブックス~狂気狂乱の読書会いわば本を焚くべし~(打ち切り)

山鳥 雷鳥

第1話 ようこそ、狂気と絶望の図書館へ

 あなたは、この世界が現実と思いますか?


 あなたは、この世界が真実と思いますか?


 あなたは、この世界が事実と思いますか?


 あなたは、この世界が真正と思いますか?



 一度は、考えたことはないでしょうか?



 …………これは、現実だと。



 某テーマパークで終わりの鐘が鳴り、そのテーマパークから去って一夜明けた時、受験に合格して、合格後の説明会に行く時、心の底から焦燥感に襲われたことは無いですか?



 ンッ? 僕や私じぶんはまだ十代だから、そんなこと感じたことない……ですか……。



 いいえ、あります。分からないのなら、呼び方を変えましょう。


 目の前が大火事になって家も物も全て消えた後、その後片付けをする際に、津波で何もかも奪われた時の片づけに、毎日の行動を、心の奥底にある虚無感と空虚感。ありますよね?


 『無い』なんてことは無い。


 無意識のうちに経験し、無視し、背けている。それを全て夢、幻想など無いと言い否定する。けれどもその大きな出来事が過ぎ去った毎日の平和、という鳥籠の現実振りをしている鳥が今、我々が見ている現実です。

 ……………それ故に、我々は宗教や科学などに縋りつき今まで生きています。ですから、聞きたい。


 この世界を見ている観客、観衆、読者、第三の壁の先にいる傍観者という張り紙レッテルを自ら張り付けている方々、そう、貴方達です。ほら逃げないで、目を背けないで、後ろを見ない。貴方です。貴方。


 証明できますか?


 目の前の世界が、耳から入る世界が、肌から感じるその熱が、証明できますか? 理解できますか? 体も感覚も思考もただ一つ。故に貴方方は証明ができない。結果、何が言いたいかと言いますと、


『愚かだ』


 元よりこの話は現実でもない真実でもない虚空の物語ですから。嘘は言っていません。

 勘違いはやめてもらいたい。

 この物語は、貴方が逃げた先、可能性の話でもありますから。


『けど、己は己。 他人の物語などに影響されない』?


 …………………………………………くっ、ははははははははっ! 面白い。なら、実証を兼ねながら、観客席で見ましょうか? ほら、貴方の席は既に取っています。

 どうぞ、座ってください。おや、そんな後ろでは物語の本懐を味わえません。どうぞどうぞ、私の御側に、そう、そうです。

 開演ブザーは既に鳴っていますから残念ながらポップコーンやコーラは買えませんよ。買えるとしたら帰りのパンフレットくらいです。


 ほら! その手に持っている携帯は電源を切って、懐に入れる。最近の俗若者は携帯ばかりに見てしまうから、映画も一本見れないのですよ? 時には、携帯から目を離し、物語を見なさい。しっ、騒がない。暴れない。………ふむ、そうでよろしい。


 おや、もうそろそろ始まりますよ? 固くならず、ゆったりとして楽しんでください。

 私は裏方スタッフ? 

 残念、私は今日はお休みです。ですから、私も貴方方と同じこの物語を楽しむものです。では、始まりますのでお静かに、観覧を楽しみましょう。


 今、そこの画面の向こうにいる、この物語を読もうといている貴方もです。

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