第5話 大発見! 我、金を発見せり!

 あいも変わらず辺境の生活は暇であった、畑仕事も大して多くない。沢山作っても周りも農業をやって居るので大して売れない、売れるとすれば王都みたいに人が沢山住んでいる所に売りに行かねば成らない。だが、1ヶ月も掛けて売りに行っても高く売れる訳でも無いので、輸送費が掛かって儲けが出ないのだ、これが辺境の現実って奴だった。大量輸送でも出来れば又話も違って来るのだろうが、辺境にはマトモな道も無ければ大型の荷馬車も無いのであった。


「う~む、やはり無理っぽい。辺境は辺境って訳だな」


 少しは良い暮らしがしたいのでパパスの領地を開発したいのだけれど、金も無ければ技術も無い、そして人手も無いの無い無い尽くし。食うには困らないけれど開発する金も人手も全くないので詰んでいるのがこの領地だった。せめて俺にチート能力でも有れば発展させたり、冒険者になって金持ちに成ったり出来るのだが、俺には魔力もチート能力もないのだな。


「まっ、良いか」


 チートも魔力も無かったが、俺には気の良い両親が居て、村の仲間たちがいるのだ。これ以上の幸せを望むのは放漫ってものだと思うことにした。が、金は諦められても美味い物を喰いたいって気持ちは常に持っていた、早い話が俺は醤油と砂糖が欲しいのだ、すき焼きが喰いたいのだな。食えないって分かると、何故か無性に食べたくなるのだ、3無い運動でバイクに乗れなく成ったけど無理やり免許を取って学校にバレて謹慎処分に成った時と同じような感じなのだ。つまり俺は我慢したくない人間なのだ。


 そしてその日も俺は村から近くの山へと行って色々な場所を散策していた、山芋を見つければ食えるし、山ぶどうを見つければジャムが出来る。人が居ないので山は恵みに満ちていた、取り尽くしたりしなければ田舎って奴は食うには困らないのだ。

 そして何時ものように山の幸を採って背負籠を一杯にした俺は喉が渇いたので、近くの小さな小川へと向かった。そして今度は川の魚でも捕まえようと川の中を見ていた時にキラキラした物が有るのに気がついた。


「まさかな~、絶対に違うよな~」


 川の底にはキラキラと光る金色の砂粒の様な物が有った。俺が若い頃ならば多分大喜びしていただろうが、此れは多分黄銅鉱とか黄鉄鉱とか呼ばれるものなのだ。ホームセンター等で野菜や草木用の土を買うとタマに入っていたりするのだ。まあ200円で売っている土の中に本物の金なんかが入っているわけは無いって事だな。でもまあ、黄鉄鉱でも黄銅鉱でも集めていれば将来役に立つかも知れない。今は金属の分離方法が無いが、もしかしたら村人に錬金術師なんかが生まれてきて、銅や鉄に分離出来たりすれば村の開発資金になったりするかも知れない、等という妄想を持ちながら俺は川の底に沈んでいた砂粒を集めて家に帰って来た。


「う~む、気になる。なんか、モヤモヤする」


 川底の黄銅鉱を集めて家に帰って来たのだが、何かが頭に引っかかる。もしかしたらって言う考えがが頭から離れないのだ。そもそもアメリカのゴールドラッシュなんかは有名な話だし、日本も有名な金の産出国だったし、何より転生前の俺の職場の近くには元金山が有って、お金を払えば金を掬えたのだ。金魚すくいではなく金すくいが出来ると言うのが面白い観光地と成っていた。勿論直ぐに近くだから、俺は行ってないと言うオチまで有るのだ。今となっては面白くないのは分かっていても、ネタとして行っておけば良かったと思ったりする。

 そして毎日の様に山の川まで2時間を掛けて行き、4時間川底を漁ると言う生活をやっていたら手のひら一杯位の量が溜まっていた。そうすると気がついた事が有るのだな、砂粒位では気がつかないが量が多くなると、凄い重さに気が付く。金属なので重いのは当たり前だが金は特に重い金属だ、そして金の特徴は時代物の映画等で真贋を見分ける為に良く行われるアレ、歯で噛むって奴。つまり金は柔らかいのだ。


「う~む、どう見ても金。でも本物かどうかは分からないな」


 集めた砂金を塊にする為には火力が要る、薪でその温度が出れば良いのだが出来なかった場合の事も考えなくては成らない。その場合は比重を比べる方法を使うしか無い、つまり本物の金と重さを比べて同じ重さなら正解って奴だな。分析する機械とかこの世界には無いので多分そんな方法で見分けるしか無いと思う。もしかしたら不思議な魔法で、分析出来るチート魔法使いがいるかもしれないが。


「ママス、家に金貨って有るかな?」


「有るわよ、見たいの? ゴールド」


 ママスは男爵家のお嬢様だったので、この村では一番お金に詳しいはずだ。他の村人達は金を使って物を買うのは半年に一度位の行商人が来た時とか、男爵領の町に買い物に行った時に銅貨や銀貨を使うのが精々なのだ。


「お~、意外にあるねママ」


 俺の家は貧乏だと思って居たら、結構金貨が有った。と言っても全財産で金貨43枚、元の世界の価値とこの世界では価値が全く異なるので換算出来ないのだが。男爵領では兵士の1年の俸給が金貨10枚、王都の兵士は金貨20枚っていう話をパパスがしてたので多分金貨1枚は10万円位の価値だと思う。この世界には税金や各種固定費って奴が殆ど無いので、それで十分に生活出来るのだ。


「まあ! どうしたのソレ! 金だわ!」

「それ砂金だろ? ゴールド」


「いやいや、まだ金だって決まったわけじゃ無いから」


 晩飯の後暇なのでママスと話していたら、同じく暇なパパスが隣の部屋からやって来た、そして俺の集めた砂金っぽい物を見て、砂金だと言って来る。やれやれ、俺の両親って何てポジティブなんだろう、俺が小学校の頃に黄銅鉱を見つけて大喜びした思い出と被ってしまう。ふふって感じがするぜ。

 そして水を使って同じ体積にした俺の砂金モドキと家の金貨を天秤に載せてみると意外にも、俺の砂金の方が重かった。


「なんでやネン!?」


「そりゃお前、金貨には混ぜものが有るからな。本物は重いぞ」


「何でパパスがそんな難しい事、知ってるネン!?」


「そりゃ俺は兵士だったからな、贋金とか盗賊が盗んだ後に溶かした金の塊とか見た事が有るぞ」


 俺のパパスは意外と優秀だったようだ、まあ当たり前か。何せ一応領地持ちの貴族に平民から出世した騎士だもんな。その日から俺のパパスに対する評価は2段階程上がった。


「へへへ、俺の覇道が見えてきた様だな」


 大喜びしている両親を見ながら冷静になった俺は、ニヤリと笑う、金持ちに成ったら美味いのもが食えそうだからだ。金山が有る場所は俺のパパスの領地、つまり俺は金持ちの領主に成る事が確定したのだ。




 



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