最後は2人で

純ちゃんの顔は青ざめていたが無表情だった…














純「もえ…行くぞ。」














一言だけ…たった一言だけそう言うと

純ちゃんは荷物をまとめ始めた…














お父さんと下でどんな話をしたのかは私には解らなかったけれど、お父さんも手伝ってくれ布団にテレビ、下着に洋服…純ちゃんの身の回りの物が次々と純ちゃんの車に積まれて行った。





 







 

そして、気がつけばお婆ちゃんも駆けつけ

私達が荷物と共に車に乗り込むとおにぎりを渡してくれた…














お婆ちゃん「もえちゃん…純ちゃんの事…お願いね、また帰って来てね…」














私達はものの1時間で荷物をまとめ純ちゃんの生まれ育った地を後にした…














お父さんとお婆ちゃんが静かに見送る中

純ちゃんは何度も後ろを確認しながら…













 

高速に乗るのも避け、ひたすら下道を走り

数時間走って隣県に入った所でやっと純ちゃんは車を止めた。














純「もえちゃん、いいよね?

もう俺と付き合うって言って…」














岡さんからの電話から1時間で親元を離れ

地元を出る覚悟をして、私と一緒に逃げる道を選んでくれた純ちゃんを私は拒否する理由はなかった。














私「どうしてここまでしてくれたの?

私は純ちゃんが思ってるような子じゃないかも知れないのに…」














純「もえちゃんがどんな子でもいい。

俺が好きになっただけだから、そんなのはどうでもいい。ただ、もえちゃんが俺で良いのかだけ知りたい。」













私は悩んだ…














本当にこれでいいのか何度も純ちゃんに訪ねながら話し合った。













そして、私は黙って純ちゃんの手を握った。














この後、私達は純ちゃんの知人の居る九州を目指し2人で逃げた…














純ちゃん19歳。

私は16歳の夏の終わりだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る