後悔

私は妊娠に気付いてからアホみたいに身体を動かした。














縄跳びをしてみたり、走ってみたり…

何とか前回の時のように自然に流産してくれるのを願っていた。














けれど、赤ちゃんは強くこの世に生を受けることを願っているかのように…私の身体の中で必死に生きていた。














次第に悪阻は益々酷くなり食事も全く受け付けなくなってしまっていった…














そして、私は何故か元カレを頼ってしまった…














記憶をたどり、何回も掛けた番号にかけてみて

やっと正解を導きだすことができた。













「もしもし、○○です。」

おばちゃんの声が受話器の向こうに聞こえた時、

ホッとしたのを覚えている。













私「もしもし、ジュンさんはいらっしゃいますか?」














私はホッとしながらも緊張しながら聞いた。














おば「もえ?」














おばちゃんは私の声を覚えていてくれていた…














おば「もえなんでしょ?ダメだって…

もう、ジュンに電話してきちゃダメなんだって…」













名乗らない私におばちゃんはそう言った。














きっと、私が児相や教護院に入っている間に元カレも何かしらの取り調べや罰を受けていたに違いなかった…

実際、私も家庭裁判所から教護院へ通知が届いていた…

けれど、私は既に罰を受け、更正するために教護院に居るという事が考慮されたと山先生から聞いていた…

そして性病…元カレが何もなかったはずはない。

おばちゃんの声で私でも解った…













私「ごめんなさい…もう電話しないから。」














私がそう言い電話を切ろうとした時だった














おば「いや、今回だけ代わるから。

けど、もえ…本当に頼むからこれが最後にしてやって…。」













おばちゃんの私への最後の優しさだった。














そして電話に出てくれた元カレは始めは身構えているようだったが、私の状況を理解してくれ

保険証なしでも堕胎手術をしてくれる産婦人科を探し、私を連れてってくれた。














診察の結果は妊娠10週~11週といったところ…

というものだった…














最低なことに私は最終生理を覚えていなかった為

赤ちゃんの大きさでそう診断された。













妊娠4ヶ月を過ぎると堕胎手術とは言わない事や危険性…そして死産という形をとり、火葬しなければならないことを元カレは私と一緒に聞いてくれた…














「あまり甘く考えないで下さい。

あなたのお腹の中の赤ちゃんは

もう、1人の人間なんです。」














お医者さんの言葉が私達に重くのし掛かった…















それでも、私は今の自分の幸せを壊したくない

手放したくないという一心で手術をしてくれそうな病院を必死に探していた…
















そんな私を黙って見ていた元カレは

「ごめん…もう力になってやれない。」

そう言って私から去っていった…

















私はこの時の自分の判断を未だに後悔している。















何度後悔しただろう…

後悔しても、この時に戻る事はできないのに…。

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