29歳、乙女転生。~嘘をつきまくってたらJKとしてイケメンハーレムに飛ばされました。~

よるの

第1話 これはただのストレス発散だ










【〇月 ×日 △曜日 ヒーロー先輩♡】



 今日は文化祭実行委員を決める日でした☆


 リアラはクラスの女の子に推薦されちゃって……実行委員になっちゃったんだけど!


 ものすっごく不安(+_+)


 でもねクラス一の大イケメンイッチーが一緒にやってくれるって言ってくれたの!


 心強いよ〜!イッチーに大感謝♡


 女の子たちにはめちゃくちゃ猛反対されてたけどイッチーったら本当に優しくって何言われても一緒にペアになってくれたよ~!


 リアラは女の子たちにめちゃめちゃ睨まれたけど気にしないっ☆


 イッチーは本当にイケメンでね?横顔もめちゃくちゃ美人で、女か!!!って言ってやりたくなったよね。笑


 線が細いフェイスラインって羨ましいなあ。みんなもなんか美容でしてることある???よければ教えて笑



 それから帰り道にね?黒猫と会ったんだけど、黒猫って横切ると不吉って言うでしょ??


 だから可愛かったんだけどいつもと違う道から帰ろうとしたら事故あいそうになっちゃって!


 でもそれを助けてくれた人がこれまたイケメンでイッチーと張るなあって思ってたら学校の先輩でびっくり!!なんかすごく有名な人らしいの!笑 


 無知なの反省…(´;ω;`) ここでは先輩のことヒーロー先輩って呼ぼうかな?助けてくれたしww


 とまあ今日はこんな感じでした☆


 ではまた次の記事で~ヾ(*'-'*)マタネー♪






























「かねてからお付き合いさせて頂いた彼と、結婚することになりました」


 そんなお知らせがSNSに当たり前に載るようになったのはいつ頃からだっただろう。


 おめでとう、という言葉も返さずそのタイムラインを指でさっさとスクロールする。


 上の方へと消えていく他人の幸せへ舌打ちをして、私はとあるブログサイトを開いた。


「あ、コメントきてる」


 ブログのマイページに新着コメントが表示されている。






008名無しさん

 毎回だけどリアラちゃんの学校生活ってなんだか現実味ないよね(笑)


009名無しさん

 今日も痛すぎワロタwwwでも面白ければおk


010名無しさん

 この前の記事でもイケメンと遭遇してませんでした?笑







「うっざ。いいじゃんイケメンだらけのが面白いじゃん」


 ケッと悪態をつきながら一晩でコメントが五十以上ついている自分のブログを読み返す。





 【りある逆はーれむ!?JKリアラのゆめゆめ♡ゆめにっき☆~運命のヒトに出会うまで~】



 タイトルからしてお腹いっぱいになるこのネタブログは私、桐島心きりしまこころが趣味且つ道楽として運営している。


 確かに痛い。それは重々わかっているし、寧ろこんなブログを楽しんで読んでくれている人たちにさえ多少なりとも疑問を感じている。



 何が面白いんですか?って直接訊ねたいくらいだ。


 でもそれを売りにして書いているし、その上でアクセス数もちゃんとあるし、広告収入も最近はついてくるし。


 このブログを辞める理由が、今のところ全くない。





「あれぇ?桐島さんこんなところにいたんですか?先ほど編集長が呼んでましたよ」

「……あ、エミリー……」

「えみりー?」

「あ、じゃなくて、さ、笹本さん!すぐ行く!」



 オフィスの共有スペースの片隅でPC作業の傍ら小休憩と称してスマホを眺めていたら、後輩の女の子に声をかけられた。


 急いで荷物をまとめて、エレベーターホールへと向かう。




「桐島さん、今の十代の胸キュンってなんだと思います?」

「ああ、笹本さんの担当って今度ティーン向けだもんね。なんだろう……最近の子たちは何にキュンとするんだろうね」



 はは、と渇いた笑いを乗せながら「あ、14階でお願いします」とエレベーターに同乗していた男の人に伝えた。


 エレベーターの一番隅に向かった彼女は「最近の子たちって冷めてますし展開早めなのが好きですもんね。流行追いつけないのが本音です」と笑いながら手櫛で髪を整えていた。


 キラキラと光る彼女のジェルネイルを横目に見つめる。



「胸キュンってなんでしょうね。わからなすぎてつらー」

「あはは、若い笹本さんにわかんなかったらだーれもわかんないよ」

「やっだぁ桐島さん、おばさんみたいなこと言わないでくださいよ~」

「おばさんなんだよなー」



 鼻で笑いながら階数ランプを見上げていた。


 彼女は「えーそんなことないですよ!まだまだ若いですって~二十代じゃないですかぁ」と笑っていたが、若いやつはこぞってそんなことを言ってくる。


 大抵なんとも思っていない発言であることもわかっている。




「それじゃあ私、10階の会議室行ってきます」

「はい、いってらっしゃい」



 ひらひらのスカートに薄いカーディガン。巻いた髪に自然に見えるまつエク、カラコン、その他諸々。私よりも六つ年下の笹本笑里ささもとえみりは社内で評判の可愛い新人社員である。


 ちなみにエミリーという呼び名は、私の心の中の彼女のあだ名だ。


 毎日毎日、可愛いを極めて本当に頑張ってんなという目で彼女を見るようになってしまったのはいつからだろう。


 あんな風に最近全くお洒落して出かけてないなあと思いつつ、ただただ一つに縛った髪を軽く手で梳いた。





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