憧れのTSしたはいいけど、どうすればいいのかわかりません!〜教えてっ、女子のアレコレ〜

ソラノヨル

教えてっ、女になっちゃったけどどうすればいい?

 夏休み最終日の朝。


「なんじゃこりゃ」


 俺は鏡に映る銀髪の超絶美少女とにらめっこをしていた。


 鏡に映っている美少女は眉にしわを寄せてしかめっ面をしているというのに、その表情すら完成された一枚の絵画のような美しさを感じさせた。


──呑気に解説してる場合じゃねぇ。


 恐る恐る視線を下に下ろすと、昨日の夜まではなかったはずの立派な双丘おっぱいがある。


 ゴクリと唾を飲み込んで、服の上から触ってみる。


 ふにょん。


「や、やわらけぇええええ!」


 ……はっ! いかんいかん、人生初おっぱいで少しトリップしていたみたいだ。


 それにだ。このおっぱいの持ち主が俺なのだとすれば、俺の愛息が行方不明になっているということだ。


 十六年間一緒に苦楽を共にしてきた俺の自慢の一人息子。


 俺はそんな息子を思いながら股にに手を当てて、噛みしめるように呟く。


「TSキタコレ……っ!!」


 俺の最も好きなシチュであり、長年の夢でもあったTS。


 それが現実となって叶った日であった。



────────




 落ち着いたところで、まずは自己紹介をしようと思う。


 俺の名前は一ノ瀬いちのせはるか。年齢は十六歳の男子高校一年だ。なんの変哲も無いただの男子高生──だった者だ。現在は銀髪碧眼の超絶美少女となりました! はっはっはー! 人生勝ち組もろたで工◯!


 身長は……だいたい百六十弱くらいかな? うーん、正確な数値は学校が始まってから保健室で測ろうっと。


 家は一軒家で、普段は親と妹と一緒に住んでいるけど、今はいない。妹の夏休みが来週までらしく、俺を置いて海外旅行に行きやがった。明後日に帰ってくる予定だそうだ。


 ま、まぁ、そのおかげかTSできたから別に文句なんてないんだけどね!


 ふぅむ、しかし困ったな。


 何が困ったかというと、明日からは学校だ。いや、別に学校に行くのが嫌ってわけじゃなくて、女になって身長が縮んだせいでまともに着れる服がない。私服登校なのが助かった。まだ買いに行けば間に合うからな。


 それに下着も無い。パンツは男だった時のやつが流用できるかもだけど、ブラがない。さすがにこのサイズ(推定Eカップ)でノーブラはまずいだろう。


 はぁ、仕方ない。


 ため息を一つついてスマホのロックを解除して、LANEの友達から幼馴染の夏に電話をかける。


 どうでもいいことだけど、指紋認証でロックが開けれたから、指紋は一緒みたいだな。


『もしもし』


「おう、おはよう夏。悪いけど今すぐに俺の家に来てくれない?」


『はぁ? なんで?』


 めんどくさそうな声で喋る夏。


 ってか、今の俺って声まで変わってるはずなのになんで気づかないかなぁ。寝起きなのかね。だとしたら悪いことしたな。まぁ、俺の方が大変なのだが。


「いいから早く来てくれ! 割と一大事なんだって!」


『え、ちょっとどうしたの?』


「とりあえず家に来てくれ。そこで事情を説明するから」


『わ、わかったわよ。行けばいいのね行けば』


 通話を終了させて、スマホをベットに放り投げる。


 はぁ、とため息をついてベットに腰掛ける。五分ほどしてからインターフォンが鳴る音が聞こえたので急いで一階に降りて玄関の鍵を開ける。


「ハルー、どうし、た、の……」


 俺の姿を視界に入れた夏は、声を尻すぼみにしながら唖然とする。


 そんな夏を見て一言。


「どうすればいいと思う?」

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