第4話 長い文章と短い文章 ネコチャンと黒歴史
===1 普通に書く===
出産祝いの手配を終えた私を、ネコチャンは微妙なニュアンスを含んだ瞳で見つめるのだった。
「ネコチャン、何かご用事ですか?」
「下僕よ。私の尻尾の付け根を叩くのです」
そこで私は、ひとしきりネコチャンのお尻をポンポンと叩いた。ネコチャンは絨毯で爪を研ぎ、仕上げに私の手を噛んだ。
「ふう、よろしい。それでは今度は、長い文章と短い文章を組み合わせてみましょう。私が長くしゃべりますから、下僕はなるべく短く答えるのです」
「はい」
「では、質問をします。下僕はなぜ、私がベランダに出るとすぐ、中に引っ込めようとするのですか?」
「危ないからです」
「危なくありませんよ。私は、万が一二階のベランダから落ちたとしても、無事であるという確信を持っています」
ネコチャンはだんだん早口になってきた。要するにネコチャンは、ベランダに出たくてたまらないのだ。
「外に落ちた時点で問題です」
私はゆっくりと宣言するように答えたが、ネコチャンは納得しない。
「晴れているとベランダはとても暖かいし、外の景色も見えるのですよ。外に落ちないようにしますから、もう少し寛大に見てはもらえないものでしょうか?」
「出せません」
「さては、私が室外機に乗るのが気にくわないのでしょう。落ちないから大丈夫ですよ。それに仮に落ちたとしても、私は猫ですから怪我などしません」
「いえ、ネコチャンが家の外に出られた時点で問題です。以前に一度脱走なさったとき、パニックになって走り回り、一時行方不明になった上、野良猫にいじめられてほうほうの体で帰ってこられたではありませんか」
「短く答えろと言ったでしょう! それに、それは私の黒歴史です」
「ネコチャンにも黒歴史が……」
「もうベランダの件は結構です!」
ネコチャンは突然立ち上がると、階段を駆け上がっていった。きっとふて寝するのだろう。
===2 一行空ける===
出産祝いの手配を終えた私を、ネコチャンは微妙なニュアンスを含んだ瞳で見つめるのだった。
「ネコチャン、何かご用事ですか?」
「下僕よ。私の尻尾の付け根を叩くのです」
そこで私は、ひとしきりネコチャンのお尻をポンポンと叩いた。ネコチャンは絨毯で爪を研ぎ、仕上げに私の手を噛んだ。
「ふう、よろしい。それでは今度は、長い文章と短い文章を組み合わせてみましょう。私が長くしゃべりますから、下僕はなるべく短く答えるのです」
「はい」
「では、質問をします。下僕はなぜ、私がベランダに出るとすぐ、中に引っ込めようとするのですか?」
「危ないからです」
「危なくありませんよ。私は、万が一二階のベランダから落ちたとしても、無事であるという確信を持っています」
ネコチャンはだんだん早口になってきた。要するにネコチャンは、ベランダに出たくてたまらないのだ。
「外に落ちた時点で問題です」
私はゆっくりと宣言するように答えたが、ネコチャンは納得しない。
「晴れているとベランダはとても暖かいし、外の景色も見えるのですよ。外に落ちないようにしますから、もう少し寛大に見てはもらえないものでしょうか?」
「出せません」
「さては、私が室外機に乗るのが気にくわないのでしょう。落ちないから大丈夫ですよ。それに仮に落ちたとしても、私は猫ですから怪我などしません」
「いえ、ネコチャンが家の外に出られた時点で問題です。以前に一度脱走なさったとき、パニックになって走り回り、一時行方不明になった上、野良猫にいじめられてほうほうの体で帰ってこられたではありませんか」
「短く答えろと言ったでしょう! それに、それは私の黒歴史です」
「ネコチャンにも黒歴史が……」
「もうベランダの件は結構です!」
ネコチャンは突然立ち上がると、階段を駆け上がっていった。きっとふて寝するのだろう。
===3 会話文はまとめる===
出産祝いの手配を終えた私を、ネコチャンは微妙なニュアンスを含んだ瞳で見つめるのだった。
「ネコチャン、何かご用事ですか?」
「下僕よ。私の尻尾の付け根を叩くのです」
そこで私は、ひとしきりネコチャンのお尻をポンポンと叩いた。ネコチャンは絨毯で爪を研ぎ、仕上げに私の手を噛んだ。
「ふう、よろしい。それでは今度は、長い文章と短い文章を組み合わせてみましょう。私が長くしゃべりますから、下僕はなるべく短く答えるのです」
「はい」
「では、質問をします。下僕はなぜ、私がベランダに出るとすぐ、中に引っ込めようとするのですか?」
「危ないからです」
「危なくありませんよ。私は、万が一二階のベランダから落ちたとしても、無事であるという確信を持っています」
ネコチャンはだんだん早口になってきた。要するにネコチャンは、ベランダに出たくてたまらないのだ。
「外に落ちた時点で問題です」
私はゆっくりと宣言するように答えたが、ネコチャンは納得しない。
「晴れているとベランダはとても暖かいし、外の景色も見えるのですよ。外に落ちないようにしますから、もう少し寛大に見てはもらえないものでしょうか?」
「出せません」
「さては、私が室外機に乗るのが気にくわないのでしょう。落ちないから大丈夫ですよ。それに仮に落ちたとしても、私は猫ですから怪我などしません」
「いえ、ネコチャンが家の外に出られた時点で問題です。以前に一度脱走なさったとき、パニックになって走り回り、一時行方不明になった上、野良猫にいじめられてほうほうの体で帰ってこられたではありませんか」
「短く答えろと言ったでしょう! それに、それは私の黒歴史です」
「ネコチャンにも黒歴史が……」
「もうベランダの件は結構です!」
ネコチャンは突然立ち上がると、階段を駆け上がっていった。きっとふて寝するのだろう。
==4 会話文の長さによって変える==
出産祝いの手配を終えた私を、ネコチャンは微妙なニュアンスを含んだ瞳で見つめるのだった。
「ネコチャン、何かご用事ですか?」
「下僕よ。私の尻尾の付け根を叩くのです」
そこで私は、ひとしきりネコチャンのお尻をポンポンと叩いた。ネコチャンは絨毯で爪を研ぎ、仕上げに私の手を噛んだ。
「ふう、よろしい。それでは今度は、長い文章と短い文章を組み合わせてみましょう。私が長くしゃべりますから、下僕はなるべく短く答えるのです」
「はい」
「では、質問をします。下僕はなぜ、私がベランダに出るとすぐ、中に引っ込めようとするのですか?」
「危ないからです」
「危なくありませんよ。私は、万が一二階のベランダから落ちたとしても、無事であるという確信を持っています」
ネコチャンはだんだん早口になってきた。要するにネコチャンは、ベランダに出たくてたまらないのだ。
「外に落ちた時点で問題です」
私はゆっくりと宣言するように答えたが、ネコチャンは納得しない。
「晴れているとベランダはとても暖かいし、外の景色も見えるのですよ。外に落ちないようにしますから、もう少し寛大に見てはもらえないものでしょうか?」
「出せません」
「さては、私が室外機に乗るのが気にくわないのでしょう。落ちないから大丈夫ですよ。それに仮に落ちたとしても、私は猫ですから怪我などしません」
「いえ、ネコチャンが家の外に出られた時点で問題です。以前に一度脱走なさったとき、パニックになって走り回り、一時行方不明になった上、野良猫にいじめられてほうほうの体で帰ってこられたではありませんか」
「短く答えろと言ったでしょう! それに、それは私の黒歴史です」
「ネコチャンにも黒歴史が……」
「もうベランダの件は結構です!」
ネコチャンは突然立ち上がると、階段を駆け上がっていった。きっとふて寝するのだろう。
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いかがでしたか? ひとつ選択肢を増やしてみました。4は見た目は悪くないと思うのですが、個人的には統一されたルールの方が気持ちいいと感じます。やっぱり2か3かな……。
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