妖怪と過ごす日常

ねこのかたみみ

プロローグ『出会い』

僕が小学校5年生の頃、その子は突然現れた。


その子の名前は「橘 湊」僕と同い年の男の子だった。

夏休みに入ってすぐみなとは隣に住むみなとのおじいちゃんの家に来た。

おじいちゃんと仲の良かった僕はみなとともすぐに仲良くなった。


ある日僕は山に虫を捕りに行こうとみなとを誘った。この時はまだのちに起こる事故を想像もできなっかった…


お昼過ぎから僕たちは山に入っていった。

山の中は少しひんやりしていて、家にいる頃の暑さが嘘のようだった。

僕たちは2人でカブトムシやクワガタといった夏ならではの虫をいっぱいとっていた。そんなとき、空が急に暗くなってきたのだ。

かなり上のほうまで来ていた僕たちは、「雨が降りそうだね。」と2人で話をし、下山を開始した。

しかし、その直後には滝のような雨が降り始めた。ゲリラ豪雨だった。

早々と地面はぬかるみ、足もとられるようになってきた。

あともう少しいけば山を出れる、そう思ったとき斜面の上からすごい音がしてきた。


「ゴォォォォォォオ」という耳が痛くなるくらい大きな音がした次の瞬間、落ちてきた土砂が僕の前を走っていたみなとを飲み込んだ。

僕は急いでみなとを探した、泥を手で掻き分けた、その時みなとの手を見つけた。

僕は必死で声をかけた、「生きてたら握ってくれ!」と、みなとは握り返してくれた。絶対に助ける。死なせたくない。


僕は急いで大人を呼びに行った。でも助け出されたみなとは見るに堪えない姿だった。全身の骨が折れ即死だっただろうと診断された。

確かにあの時握り返してくれた、もっと早く助けれていれば。さらにいえば、あの日に誘わなければこんなことにはならなかった。

そんな罪悪感から僕は声が出せなくなった。強いストレスから失声症になったのだ。つらい日々が始まった。


それから数か月が経ったある日、寝ているときだった。

夢にみなとが出てきたのだ、その隣には何かがいる…きつねだ。

その時僕は違和感を感じた、狐の尻尾が三本あるのだ。

みなとが「夜兎、こんなに早くにいなくなってごめんな。俺はもうそっちにはいけないからお前にはこいつと人生を歩んでほしい。こいつは俺の分身みたいなもんだから。」そう言ってみなとは隣の狐を見た。そこで目が覚めた。


寝ながら泣いていた僕は目が腫れているのがすぐに分かった。

変な夢だったなぁ。そんなことを思っていたら、何かが布団の上にいた。狐だ。しかも尻尾が3本ある。どうなってるんだ、理解が追い付いていない。

その狐は黄金色のきれいな毛に覆われていた、触れるのか。生き物がいる。

その生き物は急に起きた。

「やっと起きたか。我の名は黄金(こがね)。妖怪をまとめる神である。これからよろしく頼むぞ。」

何を言ってるんだこの狐は…というか狐がしゃべってる!?!?

「これからみなとに代わって我がお主との人生を共にする、あやつに守ってくれと頼まれたのでな。」そう言って黄金はまた寝てしまった。

そして僕と黄金の生活が始まった。




といった感じで、これが僕が黄金と出会うまでの経緯と馴れ初め。

この変な生き物との日常をこれからみんなに話していこうと思っているからよろしくね。

それじゃまた次回!

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