最高の幼馴染!

@Midday

第1話 プロローグと幼馴染のお願い事

 いきなりだが、今の状況を説明しよう。

 高校二年の春、授業が終わりクラスメイトが下校し、静寂に包まれた空き教室で絶賛幼なじみと初キスをしている。

 滅びろリア充だって?違うそうじゃないここだけ聞くとリア充だって思うかもしれないが皆にもわかるよう1から説明しようと思う。

 あれは昨日の話である…


★★★★★★★★★★★★★★


「とーまお願いがあるんだけど!」


 元気いっぱいに話しかけてくる茶髪ショートヘアの桜峰莉々

同じ病院で、同じ日に生まれた始まりの日からの幼馴染で、お互いの親が運命の二人と盛り上がっていたこともあり仲良くなった親同士近い場所に引っ越すことになった。


 運命っていうものを意識したわけでもないが家も近く頻繁に会っていて、単純に可愛くいつも元気に話しかけてくる妹みたいな莉々がどんどん好きになっていった。

莉々は学校の中でも一番可愛いのではないだろうか?いや一番可愛い!

実際に告白して玉砕したっていう話はよく聞く話ではあるし、可愛いだけではなく頭脳明晰で家庭的な部分もありよくお菓子を作っては女子グループにおすそ分けをしている。


 そりゃモテる。モテない理由がない。

そんなにモテたら裏で女子グループに嫌味でも言われてるのじゃないかって思うかもしれないがそうならないのが自分の存在で、隠すことなくいつも一緒に登下校をしているし、今回のお願いごとのように莉々はよく自分にお願いごとをする。

そのお願い事も簡単なことから難しいことまで、その時思いついたことやハマってるものに憧れてお願いしてくることが多く、自分はそのお願いを昔からよく叶えてあげているため行動を共にすることが当たり前になっている。

そのため一部の諦めきれない男子以外からは公認のカップルのような存在に思われているのである。

今現在も莉々は当然のように冬馬宅に来ており、その理由も両親が共働きで不在のため料理を作れない冬馬のためにご飯を作りに来ているからだ。


「っで今回のお願い事というのは何だ?」


「壁ドンしてほしいの!」


「...もしかして今少女漫画にはまってたりしないか?」


「ピンポーン!正解正解!よくわかったね!」


「この前が耳元で囁いてほしい、そして今回が壁ドンときたらそれしかないだろ」


「ということでお願いとーま私に壁ドンして!」


「...それは別にいいんだが今ここですればいいのか?」


「ここだとムードがないし、放課後の学校でお願い!」


「え、さすがにみんなの前でやるのはさすがに恥ずかしいんだけど」


「それでもやらないって言わないとーま大好き!でもとーまも恥ずかしいと思って既に誰も使わない空き教室押さえてあるんだよ」


「あぁ俺が断らないことは前提なのね...」


「そ、そんなことないよ?」


「まぁ無茶なことでもないしやるよ、それにいつも飯を作ってくれてるしありがとな」


「料理は好きで作ってるんだから気にしないでいいよ!それとありがと、じゃあ場所わからないだろうし明日の放課後私についてきてね」


「あぁわかった」


 その後晩飯を食べてくつろいだ後、莉々は隣の家に帰って行く。

徒歩30秒それが莉々との家の距離を表す時間だ。

家がかなり近いため夜遅くまでいることが多く一人の時間が少ない。

今日も時刻は22時で莉々は今から風呂に入り、勉強などをするのだろう

伊達に学年一位を誇る成績をしているわけではない。

自分が一人になるタイミングはこの時だけで、莉々のことが好きすぎて頭から離れず今も先ほどの会話に含まれていた大好きって言葉で悶えている。


「あの大好きを幼馴染としてではなく、好きな人として言われるように明日の壁ドンもこの気持ち気付かれないように頑張らないとな」


 これほどの関係でもまだ恋人関係じゃないのは冬馬が告白しフラれることを恐れているからで、莉々からの大好きは幼馴染としてだと思っており、莉々の気持ちにまだ気づいていない超鈍感野郎なのだ。

 この感情を気付かれ気まずくなって疎遠になることもまた恐れており、常日頃から冬馬が莉々に対してとっている態度はお願いを聞いてくれる優しいお兄さん風を装っている。

 学校でもボロが出ないよう普段からみんなに優しくしており評判は上々だが、本人は莉々しか見えていないためそのことに気付いていない。


そんないつまでたっても先に進めない赤兎冬馬の運命を変えるまであと18時間


★★★★★★★★★★★★★★


「今度こそこの気持ち気付かせて幼馴染としてではなく女の子として意識してもらうんだから!」


 自宅の自室で元気よく宣言する莉々

 莉々の部屋は二階で一階は美容院となっている。

 この時間親は1階でまだ明日の仕事の準備をしているため、莉々も二階の自室でどうどうと宣言しているが生来元気が取り柄の莉々の声は家族に聞こえており莉々が想い抱いている恋心はみんなが知っている事実であったりする。


(今までのお願い事は気を惹くことばかりしてたけど今回はそうはいかないんだからね!)


 彼女は今までにもいろいろなお願い事をしてきた。その理由も女として意識させるためであり、ゆくゆくは彼女になるために奮闘する女の子莉々。

 そのお願い事も普通はカップルじゃないとやらないようなこと多めである。

 一緒にショッピング(デート)をしながら腕にしがみついたり、カフェのケーキを食べに行ったときには「このケーキもおいしいよ?はい、あーん」もした、膝枕をしてあげて女の子の太ももを堪能させた後、ネットに書いてあった男の子の憧れの耳かきもしてあげた、最終奥義おでことおでこを合わせて熱を測る行為もしてもらったりしたが、物理的に距離が近づいても意識されないことにすごく悩んでいるのが莉々なのであるが莉々は気づいていないだけで冬馬本人はお願い事を聞くたび死にかけ寸前なのである。


(ふふっ!今回のお願い事は壁ドンと見せかけキスが目的だからねそのために角度やら指定をし、キスをして完全に意識を全部奪ってやるんだから!

きっと明日から私を意識して告白してくるに違いない!)


 初恋の幼馴染との初キスをするかもしれないということでテンションがガン上がりしている莉々が計画を実行するまで残り18時間

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