油断禁物

 寝ている時の先輩はさながら蛹だ。身を丸め、かけ布団を躰に巻き付けるように引き寄せ、頭も布の中に引っ込めてしまう。

 すうすうと健康的な寝息を確認してから、いつも枕の下に入れている先輩のスマートフォンを手に取る。今のうちだ。友人に助言されたのかロックがかけられているが、パスワードなんて大体想像がつく。


「す、け、べ」


 まず今推しているキャラクターの愛車のナンバーを打とうとした時、布団の中から笑い声と共にこちらを詰る声が響いた。

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