祝祭 カルネヴァーレ

宮田秩早

第1話 序文

勇敢な雄山羊のウレスコサパタ

ピレネーの峰を疾風の如く

駆ける姿は天翔る星の如く


美しい雄山羊のウレスコサパタ

その毛並みは峰を飾る初雪の如く

その足には金の靴を履く


恐れを知らぬ雄山羊のウレスコサパタ

天に輝く陽を目指し征く

火の輝きに魅(み)せられたかの如く

~「ピレネー民謡集」より抜粋~


脚注:この「抜粋」は十二世紀、威尼斯ヴェネツィアで編集された「祭事歌謡」に記されている。

「ピレネー民謡集」なる原書の存在は確認されておらず、現存する現地民謡に類似のものがないため、詩の全文および真贋は不明である。

 なお、「ウレスコサパタ」とは、ピレネー、バスク地方の言葉で「金の靴」の意。

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