第164話 さようなら
一応向こうに戻るとギフトや魔法が使えなくなるとユリシーズが言っていた。
同級生の洗脳を解いたが急激にそれまでパートナーとしていた者への好意が消え失せ、現実に戻ったが、混乱していて愕然としている者が多かったがは無視した。
比較的立ち直りが早かった者に帰れない者達のビデオレターを託した。
襲撃者が持っていたビデオカメラに全員のメッセージを残し、魔法を放ちその様子も記録した。
俺は日本では既に天涯孤独だった。なので俺のメッセージはマスコミや知人向けだった。
そして帰らぬ者を代表し、俺と国王が総理大臣宛のビデオを撮影した。
そして美菜達から各自の親への贈り物をまとめ封印し、帰る者に託した。それと死んだ者の形見と価値のある物を形見と共に渡す。これも封印し、封印の様子を俺がビデオで撮影した。
実はユリシーズは嘘をついていた。帰れないのは真の勇者だけなのだ。なんとなく分かっていたが、元々は俺も帰れる事にして美菜達を送り返す事を真剣に考えユリシーズに話したが、恐らく美菜と律子、沙友理が精神崩壊を起こし、多分自殺すると言われ、俺もそんな気がしたので、ユリシーズに嘘をお願いした。
そして翌朝もう一度日本と繋ぐ時が来た。
ユリシーズが魔法陣に修正を加えてゲートをオープンした。
俺は何処にゲートを出すかイメージしユリシーズが俺の指定場所にゲートを繋いだ。
そこは生放送中の国会議事堂の、まさに各党の代表者から首相に対しての質問が行われているその場だ。
そして帰る者と抱き合いさようならを言い俺達は笑顔で送り出した。ただし皆分かっている。それが作り笑いで、泣いているのを。
最後の一人がゲートを通り、向こうに到着したのを確認しゲートを閉じた。
ゲートが閉じた後俺達は抱き合って泣きまくった。
そうすると誰かのスマホに大量のメールが入ったようで、メールの受信音が鳴り出し、電源を入れたスマホに一斉にメールが入り出して俺達は驚いた。おまけにガンガン着信があり、あまつさえ会話ができた。
ユリシーズがゲートに対してして特殊な閉じ方をしたのだ。正確には完全には閉じなかったのだ。
そう、電波のみ行き来できるようにしたのだ。但し人が行き来出来る程のゲートは二度と開かないと。変異はゲートが開く事で発生し、開いたゲートを完全に閉じられるのは真の勇者のみだと。
そして次に変異が起こせれるのは前のゲートが完全に閉じていないと無理だという。
そして俺達の元には皆が置いていってくれたスマホの充電器等がある。
何年使えるか分からないが、俺達は間引きしてスマホを収納に入れ、一部のスマホのみ稼働させて、延命を図る。
襲撃者の装備にスマホがあり、パスワードが設定されていないのも保存する事にした。
そしてこちらの世界の後始末をするのであった。
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