前のエピソード――第161話召喚陣

　俺はもう日本の土を踏めないと分かっていてユリシーズにお願いした。

　その気になればゲートを壊しめてから壊れるまでの僅かな間に、俺と俺の大事な家族と日本に行くと言う選択肢もあった。

　しかし、確証が持てず全員が移動し終わる前にゲートが無くなる可能性もあったので決断できなかった。

　時折数名が武器を携え出てくる。

　ユリシーズが魔法陣に手を添え破棄を開始したのがわかる。

　俺の魔法で一気に床ごと壊す手も有ったが、大爆発が起こり、かなりの死者が出るとユリシーズに言われ却下となった。

　それに大規模な地震が起こり、広範囲でさらに悲劇的な結果が此方にも向こうにも起こるといい、慎重にユリシーズが解除していっている。

　この解除は魔法陣の精通していないとできず、基本は精霊達の力を借りねば魔法陣は上手く発動しない。今回は恐らく勇者召喚を行おうとし、変異の時期と重なり、更に誤った魔法陣を描いた為変異に繋がったとユリシーズが言う。

　ユリシーズ「聖なる世界樹の管理者が命ずる。異界と繋がりしこの門を安全に閉ざし、二度と開かん事を我が命ずる！閉じよ！」

　普段はホワワンとしたユリシーズがきりっとした声を出す。時折マシンガンをぶっ放すやつからユリシーズを守り、やがてゲートが輝き、魔法陣も浮かびだした。そしてゲートが歪みだし、浮かんだ魔法陣に吸収された。最後に出てきた奴はゲートがおかしいのに気が付き、必死に戻り、背負ってた装備一式をリュックごと投げ捨てて必死に浮かんでいくゲートにしがみつき、消える直前に戻っていった。

　最後に爆竹くらいのパーンという音と共にゲートが消え、俺達が向こうに戻るチャンスを消したのだった。

　そうするとこの国の王たらが帰り支度をしたクラスメイトが出てきて、そこにゲートが無い事に驚いていたのであった。