第160話 出撃
城へ向かっていると崩れた建物が多くあり、生き埋めになっている者が多そうだった。石造りの家は耐えたようだが、古い木造の家が崩れたようだ。
近隣の者が倒壊した家屋を壊し、中に生き埋めになっている者を引っ張り出している。
不思議と死体が殆見当たらない。
救助しない罪悪感があるが、それは俺達の役目ではない。救助活動する時間がない筈だった。
変異が始まった以上早急に変異を終わらす必要があると召喚時に言われていた。以前リーリンとバラムにも確認したが、それが事実だと言われた。
他には目もくれず一心不乱に城を目指した。
そして城に着くと既にバラムが外で出迎えてくれた。じゃなくて万が一があるからと外に避難していたのだ。
そしてユリシーズに説明をして貰う。説明を促すとユリシーズの様子が一変した。
ユリシーズ「矮小なる人々よ。愚かにも変異を引き起こした罪人がかの地におる。速やかに変異を鎮めねば、この世界は滅びよう。この者、妾の愛するこの者が当代の勇者であるな。この者を全力で護るのじゃ。さもなくば主らが滅びよう。妾を伴いそなた達が召喚されし彼の場所へ征くのじゃ。妾も護るのじゃぞ!お主らだけでは変異の沈めようが分かるまいて。妾と聡太で鎮めよう。その後妾と聡太の祝言じゃ!くきゃきゃきゃ」
俺は、ユリシーズの頭をコツいたので最後がくきゃきゃきゃとなってしまったが、どうも神託か何かが降りたのだろうが、なんとなくこつく事にした。最後が!?だったからだ。
ユリシーズ「酷いのじゃ!漸く妾が出てこれたと言うのに、聡太の妾に対するこの扱いは何じゃ!?妾達には時間がないのじゃ!もう少し優しくしてたもれ。」
彼女が俺の手に触れると、その悲しい想いが伝わってきた。どうも何かの折に人格が二分されたようで、変異に立ち向かうと人格が融合されて、本来の一人になるらしい。そういう想いが俺の心に流れて来た。
俺は、思わずユリシーズを抱きしめて
聡太「済まない。君はずっと俺を見守っていた人だね。夢での会も何度か君がいたね!それと俺に忠告をしてきたのは君の方だろう。おかしいと思ったんだ。普段のユリシーズからはそんな力を感じなかったが、君が俺を守ってくれたんだね。大丈夫だ。融合しても俺は変わらずユリシーズを愛するから。だからな、ちゃっちゃと倒してこようぜ!」
ユリシーズ「愚か者が。倒すのでは無く召喚陣を破壊するのじゃ。あれを破壊せねば次から次へと異界の者が来るでな。基本的に陣を閉じて、出てきた者は討つのじゃ」
そうそてダンジョンアタック組からお子ちゃまを除いて出陣だ。モナ達勇者でない者は全てユリシーズの護衛とした。驚いた事にバラムも、いつの間にか来たリーリンも行くと言う。バラムは街の事は部下に任せ、一緒に戦うというのだ。
テレポートのギフトであの街のギルド付近に向かう。何度かに分けてテレポートし、大多数の建物が崩れた無残な姿の街を見た。城は健在だった。ここからは徒歩で移動する事になるが、陣から出てくる者に大いに驚き、戸惑う事を今はまだ知らなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます