第84話 尾行

 ダンジョンの帰り道に尾行されている事に気付いた。

 モナに伝えるとダンジョンを出た瞬間からいるという。こいつ何気に凄いやつだったんだなと今更思い知らされた。

 俺達は何事も無い振りをしてギルドへ魔石を換金しに行く。

 次は夕食の食材を買いに行き、それを使って料理を食べる。そんな感じの日常を演出している。

 家も見張られているのがよく分かるような下手な奴だ。

 気が付かない振りをし、普通に過ごす。


 何気ない日常を過ごし特別な事がない。そういう印象を与える為に必要以上の食料を買ったり、逆に買わないというのも変なので交代交代で俺と誰かが買い物、二人が家の掃除や料理の準備等が有るので別れて行動だ。これがおそらく数日は続く。

 尾行者からするとつまらない生活だな位にしか思わんだろうなという感じだ。


 俺達は注意をしている。普通の冒険者のような行動もしたいが、新婚チックな行動を心掛けている。

 花を買ったり果物を買ったり。


 一番大変なのが洗濯だ。朝干してから出掛ける。ちゃんと洗濯をして、前日着ていたのを干す。念には念を入れてだが、クリーンで済ませたいがトラブルの元なので避ける感じだ。


 そして困ったのは夜の営みだ。どうしようと二人に相談するも普段通りでとの回答だ。普段はどう決めているのか先の番と後の番を決めているようで、片方はリビングなどで過ごし、終わった後入れ替わり、終わると寝る為に迎えに行く。そんな感じだ。二人同室では行為をしていないのだ。だからいつも通りだ。モナにはちょっと可愛そうな気がするのだが。


 翌日もボロを出さない。

 門番に今日はどこまで行くんだ?とかちゃんと帰ってこいよとか声を掛けられる。今日は50階層までを目標だよとかの会話をする。

 そんな感じでごく普通の若い冒険者を演出している。


 46階層にて皆と合流して50階層へ向かう。もうモナの話を参考に出来なくなるので慎重に行く事になる。

 朝会うとミーナとリーナ、サーヤがダンジョンを出た後の話をしてきた。ダンジョン2泊目で既に精神的にも参ってきたようだ。

 なんの事はない。デートして欲しいというのだ。

 俺も彼女達の事をちゃんと知りたいし、デートを糧に頑張れるならと思い了承すると大いにテンションが上がった。みっちゃんにもせがまれ頷いて了承すると張り切っていた。


 前日頭角を現したのはユキリンだ。指揮を取るのが的確で、攻撃指示を出すのが俺と同レベルで上手だった。


 もしパーティーを分割する場合ユキリンがリーダーの第一候補だ。


 慎重に行くも皆の戦闘が巧みになりサクサク行けており、モナが驚きを隠せない状態だ。

 そうして50階層のボス部屋の前まで来たのであった。

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