第82話 死亡者発生報告

 ギルドに着くとリリアを残して受付に向かう。モナがS級のお陰で待ち時間無しの上級者用受付にて割り込めるからだ。その運の悪い奴は項垂れて俺の後ろに並び直し、俺達の対応が終わり次第続きになる。


 エミリーが後輩の受付嬢にダンジョンで死亡者が出て、装備ろももろと衣服、ステータスカードを回収した旨とそのカードを提出し、確認をして貰う。規定で俺達のカードを確認し犯罪者では無い事を確認する事になる。


 事情を知らない受付嬢はパーティの全滅に慌ててしまい、パニックになっていた。エミリーが優しく手順を教えて、先ずはギルドマスターへの報告、ギルドマスターが確認後死亡者リストへ反映、所属ギルドへの連絡だそうだ。

 それと死亡者の欄の掲示板に死亡した街と所属の街に一週間死亡告知を貼り出し、身内や関係者からの連絡を待つ。


 装備や衣服から間違いがないか確認できるなら確認し、欲しい物を買い戻す交渉をする。

 荷物は基本的に発見者の所有物となるが、遺族などの要望から一週間は買い取りの要求に応じる義務があるのだ。但し交渉次第だが相場の金額での買い取りが基本だ。受付嬢がギルドマスターに報告に行き、ギルドマスターの指示で馬車を裏手に入れ、受付以外の職員も手伝い会議室の一つに荷物を並べ、誰のかわかる範囲でまとめていた。

 買い取り希望者に対して一週間後の朝に顔を出すから希望者はその時に来て欲しいと伝えた。基本は相場で応じると、怪しい奴の買い戻しじゃないのだけど確認したいと伝えた。これも偽装工作の一環だ。


 並行して受付嬢が貼り紙をするといきなり反応があった。丁度装備等を並べ終わり今日は引き上げようとしたタイミングで、同じクラスの女子数名と騎士数名が来たのだ。俺は髪型も色も変えていてまずは分からないだろう。そして今はモナをリーダーの体にして交渉をお願いしている。分からなかったり判断に迷うと俺に間違いないかなどと聞いて貰う。俺は会議室の隅で大人しく様子を観察していた。


 モナが騎士に色々聞かれている。モナは流石にS級なだけあり、一部の騎士に見知った顔があり話の信憑性も高い。騎士はギルドマスターに正直に説明をしていた。勇者召喚を行って召喚された者達で、修行の一環でダンジョンに1週間程潜らせていたと。約40名を召喚し連れて来ていた。今回の8名は特に実力が有る者達で残念だと言っていた。他の生徒は20階層にまで行ったのが他に1パーティーしかないと言うのだ。


 ギルドマスターが注意喚起をした。最近壁の外で衆人観衆の中でもお構い無しに姦淫している者が報告され、ギルドマスターも直接確認している。お盛んな事は責めないが、魔物が出て危険なので外での姦淫行為を控えるよう真面目に要請し、騎士も念の為危険な行為だと告知はすると応じていた。


 騎士は念の為彼女達が程万が一の可能性に掛けて帰って来るのを1週間待つと。モナは今は見到達階層へのダンジョンアタック中なので万が一発見した場合ギルドを経由して伝える旨を話していく。クエストの関係で2〜4週間程でこの街を一旦離れると伝え、それまではダンジョンに潜っている旨伝えていく。


 一応これで種まきが終わった筈だ。モナのお陰で大丈夫そうだ。


 やはりクラスメイトは泣いていない。

 装備等を城として買い取るというので応じる。服をどうするかと聞くといらないというので俺達で着るのか売るのか決める事となった。城からの支給品で程度も良い。着れないサイズの物は売る事になった。そうしないと怪しまれるが、一応全ての買い取りも一週間後に彼女達が発見できなかった時に行う事で同意したが、破れていたり血のついた服はどうせ処分するからと騎士に持たせ、城への報告で使うようにモナが気を利かせていた。



 そうして工作の第二弾が終わったのであった。

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