第77話 快調

 31階層は基本的に手出しをしない。前日に伝えていて、分隊とした時に8人に分けるかもなのと、修行を兼ねてだ。それとエスケープに移る際にダンジョンに置き去りにせざる負えないからだ。


 結果俺が早々に指示を出す始末だ。


 美菜がアタッカーに回りがちなのだ。


 ヒーラを温存しないので20階のボス戦の二の舞になりかねないからだ。


 エスケープ中に何かあって俺が何日間かダンジョンに入れないかもなので、その場合8人で何とかしないとなのだ。


 思う所があり美菜と友樹以外に剣で戦わせてみた。


 やはり前衛が出来る者がいた。


 みっちゃんだ。

 多分剣術か身体能力アップ系を取得している筈だ。また、やたらと打たれ強いので多分タンクと言われるヘイトを稼ぎ自分に攻撃させて、その間に皆が攻める感じだ。そういう事を考えたのだろう。


 それを踏まえての戦術を伝えると先程までの苦戦が嘘のようにサクサク先に進めれていた。皆が思い描いた戦闘が出来るので途中でジゴロの戦闘にチェンジというと拒否されて戦い続けていた。体が鈍るからと35階層だけはジゴロで戦ったりと、ここに来て皆の表情が明るくなった。


 みっちゃんは多分生徒を守るんだという為の選択をしたのであろうと思った。らしいなと。あの小さい体で、しかも幼い顔立ちから生徒に舐められまくっているが、それでも責任感からか健気に守るんだと考えたのだろう。この女性に責任を負わせてはならない。俺がなんとかしてあげたいと急に保護欲が沸き上がる。あれ?何で生徒に舐められていると分かったのだろうか。


 今日はさくっと終わり、先日発注していた8人の防具を取りに行く。ギルドに防具店の方を呼んでいて採寸をしている。服は俺がある程度預かっているのと、宿に一部荷物を残す。


 ダンジョンでの死亡を偽装する為だ。

 俺達が装備品を40階層のボス部屋にて発見したとして装備品から服や下着まで全て出す。死亡した場合アイテムボックスの中身は消え失せる。幸恵さんが最後の時にどうでも良い物をアイテムボックスに入れてそれが発見されるか検証しろと言われ、結果発見できなかった。


 ギルドマスターから更に修正案を伝えられ、追加で調整と準備をしていた。日程は最終日から1日早めた。


 そうして少し早いが36階層をクリアしてからダンジョンを引き上げたのだった。

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