第57話  覇者とは

リリア「短いのと詳しいのとどちらが宜しいですか?」


美奈「詳しいのは後で、今は概要をお願いします」


 妙に丁寧なのが怖い


リリア「それでは聡太様が崖から転落し川を流される所からの話しを、固まっている聡太様に代わりリリアが致します。お師匠様の予言により私が赴いた場所で聡太様が流されてきました。お救いした後お師匠様が聡太様に変異を乗り越えるのに私のサポートが必要として、託されお会いした当日に亡くなり、その後変異に備えるべく冒険者としてダンジョンを中心に鍛えようとこの街に来ました。聡太様は残念ながら私がお救いする以前の記憶を持ち合わせてはおりません。その後トラブルに巻き込まれたギルドの受付嬢のエミリーを救いました。二人して聡太様をお慕いするようになり、2日前に結婚を致しました。写真というのを見ており、今日の様な事態は覚悟をしており、他に娶る方がいらっしゃっても、聡太様のお力になる方であればファミリーとして、妻の一人として受け入れる事と決めておりました。また聡太様は城より刺客を差し向けられ崖から突き落とされ、その時反撃し、田邊という者とデービットという護衛か案内人を返り討ちにし、転落した時の音の記録を聞きました。この後は国外へ脱出を考えております。エミリーも身辺整理は終わっております。これが概要でした」


美奈「記憶を無くしているの?」


トニー「頭を強く打ったようで、意識を取り戻した時には激しい頭痛と頭部に怪我を負っていたんだ。スマホのボイスレコーダから俺が高山に襲われて、その隙を突き田邉が高山を殺したんだ。そして俺が田邉とデービットに崖から落とされたんだ。魔法で反撃した音が残っていて俺は多分魔法を放った反動で崖下に落ちず、川に落下したのだろう。俺は君達の仲間なのか?俺は名前すら覚えていなくて、持ち物から名前は分かったが記憶にはないんだ。君達三人と仲良く腕を組んだ写真を見たんだ。俺の恋人なのか?」


美奈「記憶を無くしているのはは大変ね。7日後に街の入り口に集合で、それまでは各パーティーで行動し、ダンジョンアタックをするように言われているの。宿代も貰っているし、最低限の食事はお金を貰っているから各自で食事を確保する事になっているの。贅沢したければギルドで魔石を売ればお金になると聞いてるわ。それで贅沢したければしなさいと。元々嫌な予感がしてたのよ。私達以外は皆洗脳されていて、聡太が早い段階で国外に逃げて力を付けていずれ城を落とすと言っていたのよ。録音を聞かせて頂戴!それとリリアさん?貴女は私達が聡太に娶られるのを良しとしているの?聡太との事はて、今は私が付き合う番だったの。聡太は私と律子、沙友理の三人を娶ってくれるって約束してくれたのよ」


リリア「はい。既に写真から恋人がいると判断しており、エミリーと相談し聡太様がハーレムを築かれる事を受け入れております。この世界の責務として強い優れた殿方は多くの妻を娶り、優れた子をなす事です。お師匠様から託された私宛の手紙に私が救う者がそうで、ハーレムを築かれる方だと。妻達を平等に愛される傑物だと。すぐには信じられず、単なるスケベな男にしか見えないが見守れば分かると。恐らく城は聡太様が間違いなく覇者ではないと、その高山というのもそう判断されて抹殺しようとしたのだと思います。召喚勇者の数は上限が決まっています。45人です。お師匠様も召喚者でひっそりと隠れ暮らしておられました。

 美奈殿はご存知ですか?召喚勇者には一度に召喚した者の中に一人いるかいないかの覇者がいる事を。恐れ多い事ですが皆様は単なる召喚勇者で、変異に立ち向かえる可能性のあるのは覇者一人のみなのです!召喚者の中での最強者が覇者の勇者となる可能性が有るのです。それが今回は聡太様です。城はもう一度召喚を行う筈です。今度は三名召喚をするから、聡太様が死んだと確信します。今は勇者の総数が44と世間には信じられていますから」


美菜「ちょっと話しに着いていけないわ。まず一つづつね。私は貴女達を気に入ったわ。流石に聡太の選んだ女性なだけは有るわね」


 そうして皆で記録を確認していったのである。

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