第45話 愚かだった

 夕方に差し掛かろうという時間だった。街に戻りギルドマスターの元へ向かっている。

 時間が遅くダンジョンの管理員は既に帰った後だった為に報告する相手が居なかったからギルドに向かっていたのだ。


 リリア「ねえトニー、お腹空いたねー!何か食べたいよー」


 聡太「そうだね!ギルマスに報告したら美味しい物を食べに行こうね!お店はリリアが選ぶと良いよ」


 リリア「んー迷うなーどこにしよっかなー♪」


 お店選びを任せると機嫌の良いリリアがそこにいる。


 ギルドに着き、エミリーがギルドマスターの所に向かい、少ししてから手招きされたので執務室に向かうった。


 そしてギルドマスターに俺は報告を始めた。


 聡太「初心者ダンジョンですが、今日クリアはしたのですが、どう見ても出没する魔物がおかしかったので報告に来ました」


 ギルドマスター「おかしいってどういう事だ?それにクリアって!?」


 聡太「まず階層ですが5階層がボス部屋で、道中ケルベロスやミノタウロス等が発生し、ボスはドラゴンの幼体でした」


 ギルドマスター「お前達何を言っているのだ?ボス迄倒したのか?一応幼体とはいえ、Sランクの魔物だぞ。それに入り口の所にある看板を見なかったのか?ケルベロスが出たら即引き返せ!数年に一度のダンジョン特質日で大変危険です!って書いてあったろう!?」


 聡太「えっ!?そんな事書いてあったの?俺字が読めないから分からなかったですよ」


 ギルドマスター「おまけに初心者講習でもその辺の話をする筈だぞ!おい、エミリー!どうなんだ?」


 エミリー「えっ!?そうなんですか?私自身は講習なんて受けていないから初耳ですよ!それにトニーは記憶がないと言うので知らないのでしょうね」


 皆の視線がリリアに向かう


 聡太「リリア?ナニカイウコトハアルカイ?」


 俺はわざとカタコトのような喋り方で話をした


 リリア「あ、あのね、ふたりがなにも言わないから私の記憶違いかと思っちゃった。それに講習って眠くて多分寝ちゃってたかな。てへ♡」


 聡太「てへ!じゃないよ!まあ可愛いから許すけど」


 ギルドマスター「もうその辺で良いか?お前達本当にボスを倒したのか?敢えて挑んだ奴は俺以外全員死んでるんだぞ。俺もボスを見た瞬間に逃げ帰ったんだぞ」


 俺は床に魔石とトレジャーボックスを出した。


 ギルドマスター「うお!凄いなこれは!殆どミスリルの武器じゃないか。魔石は1000万Gで買うぞ。そ、そのな、アックスだが個人的に売ってくれんか?」


 聡太「えっ!?魔石ってそこまで高いんですか!?。そうですね、アックスは差し上げますよ。俺の名前を変えてくれたお礼っす!」


 ほいっと渡すとぷるぷる震えている。ドワーフにはやはりアックスだ!


 それと明日エミリーも含めて初心者講習に急遽参加となった。参加後ランクがCに上がる予定だ。


 ギルドマスター「丁度明日初心者講習があるから3人で受講するのだぞ!倒したとはいえ今のままじゃこの先不味いからな。リリア殿も良いな!?」


 リリアは項垂れてハイと返事するのが精一杯だった。


 なんだかんだとギルドマスターは父親のような存在だった。後から聞いたが、エミリーの両親が亡くなってからは元々冒険者時代にパーティーを組んでいたのもあり、家も隣だったので奥さんと何かと面倒を見ていたそうだ。職員宿舎に入るまではそうしていたと。


 そんな感じでギルドマスターと別れ、食事をし、エミリーを宿舎に送ってから宿に引き上げたのだった。

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