第8話 講習

 席に着くと間もなくギルド職員が来て、冒険者登録の手続きを行った。カードを預け講習の後渡すと言われた。


 講師が来て冒険者のイロハを伝えている。

 講師は40代位の冒険者だ。


 ざっくりと魔石絡みの話をしていった。

 魔物の魔石はギルドで買い取ってくれる。

 魔石が討伐証明になると言う。通常は心臓の横にある。

 魔石の使い道は魔道具の原料や、魔道具の原動力という。職人が作成した魔道具は魔力を必要とするが、しかし一般の人の魔力だと足らない事が多い。その為魔力の結晶である魔石を魔力源として使う。

 照明だったり、コンロ、給湯と一般家庭でも照明位はあると言う。魔道具を使えば日本程とは行かないが、途上国よりも快適な生活が送れるなと俺は感じていた。


 そしてレベルのある世界で、冒険者に成らないとレベルの恩恵を受けられないと。レベルが上がると身体能力や魔力の強さや量も増えるがステータスを見る術がない。レベルはステータスカードに記載されるので強さの目安はレベルという。

 俺は考え事をしていて、レベルの目安を覚えていなかった。


 冒険者ランクは Fからスタートして、F、E、D、C、B、A、S、SS、SSSになる。ギルドではランクに応じた依頼を受注できる。俺達はEランクスタートだという。


 等と説明があり午前が終わる。

 4人で昼食を食べ午後の部になる。

 昼食は城の客が使う食堂でこの世界の一般的な家庭料理を食する。いきなり街に出ても混乱するから、城の中でこの世界での一般常識を習ったりして、皆の心の準備が整うよう教育をすると言う。食事も一般的な料理を敢えて出すと。勿論フルコースの料理も夕食時には時折出すそうだ。

 今日はフランスパンに似たパンとピリ辛のスープ、それと生野菜。


 男子の話に耳を傾けると既に女を充てがわれて籠絡されている者が数名いる。昨日何回やったとかそういった話が、聞こえてくる。


聡太「一応他の生徒に気を付けるんだ。聞こえているかもだが、既に女を充てがわれていて、傀儡になりつつある者が出始めている」


律子「あんあたもやっぱりエッチしたいんだ。ふーん」


聡太「真面目な話をしているんだ。茶化すな。俺達には異性を充てがう事は無理だと既に分かっているだろ?俺に必要か?律子達美女三人が俺の側にいるんだ。俺には君達がいる。な!」

 

律子「あっ!美女なんて。私達はあんたに嫁ぐって決めたのよ。確かに異性を充てがおうとしても拒絶するわね」


聡太「それとな、俺は君達の気持ちが良く分かった。ちゃんと受け止めたい。でも、それにはまずこの世界で生き残らないとなんだ。もし俺達が分断されて誰かが死んだ事にされても、そう聞かされても信じるな。己の目で死体を見るまでは生きていると信じるんだ」


沙友理「あら?今日はやけにかっこいいのね。分かったわ」


美菜「聡太、私達をちゃんと守ってね。実はね聡太と順番に付き合っていくって、りっちゃんとさーやと高校に入ってから決めていたの。一年づつってね」


聡太「うん。朝の話で何となく分かったし、唐突にフラレたのもようやく分かったよ。多分デートの話とか筒抜けなんだろ?」


律子「ごめんね」


聡太「今はいい。それより本当に良いんだな?俺を選ぶという事で」


 三人は頷いている。


 俺は、溜息をついた。

 3人を合法的に娶るなんて夢のような話でしかも美人が三人もだ。

 浮かれる気分は無い。どうやって生きていくか、俺の能力をどこまで3人以外に伝えるか悩んでいた。


 そろそろ時間なので講習に戻る。

 本来は昨日行う鎧の採寸と武器の配布だったが既に昨日貰っている。

 午後からは兵や神官に手伝って貰い装備を装着し、本来昨日行う筈だった魔法の試し撃ちだ。皆楽しみにしていた。魔法なんて地球じゃないから俺も少し心が昂ぶっていた。AJに近付けるかな?

 因みに武器は城の武器庫で剣を数本くすねている。収納に入れているからまず俺は疑われない。スキルチェックでアイテムボックスが無いと記録されているからだ。俺のは上位の無限収納だけどね。


 練兵場の中にターゲットとなる木の人形が人数分有り、各自それを目掛けて魔法を試みる。

 美菜もファイヤーボールで燃やし、ウインドウカッターでターゲットを切り裂いていた。

 律子はフェニックス?を召喚しターゲットを一気に消し炭にして皆を驚かせていた。

 沙友理はアイスアローでターゲットを串刺しにし、燃えている誰かのターゲットにウォーターボールをぶつけ火消しをして遊んでいた。

 俺は見える範囲なら30cm位の穴を円筒、四角、球体といった感じで穴を掘れて、上空に掘った土を出現させ落下させられる。勿論任意の場所に土を置けるのだが、一応ターゲットの上空30m位が限界だったが、掘った土を真上に出現させて落下させた土でターゲットを破壊は出来た。


律子が「へー。そういう使い方も有るんだー」


聡太「これじゃ駄目だな。もう少し低い所に出さないと時間が掛かって逃げられる。まあ戦闘で使い道はあるよ。斬り掛かってきた奴の足元に穴がいきなり空いたら倒れるだろう?そこを剣や棍棒でもいいから頭を殴れば倒せるよ。それよりお前のはまた凄いな!」


律子「ふふふ惚れた?」


聡太「かっこいいなあ。うん惚れ直したよ」


 そういい俺は自分のターゲットの破壊状況を確認していると背後から何かを喰らったっぽく、吹き飛ばされて体が燃えていた。沙友理が俺にウォーターボールをぶつけてくれて火を消してくれた。そして悲鳴を上げながら美菜が俺にヒールを掛けてくれ、全身の大火傷を癒やしてくれた。

 ディスプレイにファイヤーボールとウォーターボールを取得した旨が表示された。


 俺は見た魔法じゃなく、喰らった魔法をなら取得出来るのだと理解出来て残念だった。

 そして皆の静止を振り切り俺にファイヤーボールをぶつけて来た奴を1発殴ってやった。そう、風呂場で俺を睨んでいた美菜に横恋慕を抱いている奴だった。


聡太「お前、ふざけんじゃないぞ!手元が狂ったとか言うなよ!ちゃんちゃんコントロール出来ているのはさっき見ていて分かっているんだ。もしまた同じような事をして見ろ、たとえ俺が死んだとしても、彼女達がお前を消し炭にしてくれる。肝に命じておけ」


 そう言いそいつから離れた。

 本来魔法を発動する場合、魔法名を唱える必要が有るのだが、ギフトにより取得している魔法は詠唱がいらない。但し魔導書や指導で身に着けた魔法は詠唱が必要と教えられ、魔法の使い方のアレンジを少し教えて貰った。


 例えばわざと魔法を外して気を取られている隙に懐にもぐりこみ短剣でぶすりとか。

 牽制で足元に放ち、近づくのを止める等だ。


 そうして本日の講習は終わったのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る