第5話 スキップ、開眼!
「……で、あれがその『スキップ』というやつなのか?」
数日後、骨董屋『銀の短剣』の店先で、黒衣に身を包んだ黒髪の男は、首をかしげるような仕草と共にそう言った。艶のある髪は背中まで流れ、一見すると女性のようでもあるその人物は、シホの『二番目の兄』リディア・クレイである。
「……そのはず、なんだけどねえ……」
応じたのはフィッフスで、二人は店の前の通りで、石畳の上をぴょんぴょん飛び跳ねている陽光色の髪の少女を見ていた。
「上機嫌な様子で跳ねるように歩く……か」
「確かに、跳ねるように、ではあるんだけどねえ……」
二人が見守る前で、シホは先日目の当たりにしたというケイカの『スキップ』を、自身でも出来るようになりたいと、見様見真似で練習をしていた。練習をしているのだが……
「……よくわからんが、もう少しテンポがいいものではないのか?」
「うーん……」
リディアの指摘の通り、シホのスキップは、何となくどたどたとしていて、重々しいのだった。とは言うものの、練習に励んでいる本人の横顔は、まさに上機嫌そのもので、陽に輝く珠のような汗を額に浮かべ、にこにこと動き回っている。
「まあ、気持ちはよく伝わるな」
「そうだねえ。それが大事だろう?」
「……まあな」
「フィッフスさん、リディアさん!」
呼ばれて二人が顔を上げると、シホが顔を振り上げ、満面の笑みを向けていた。
「どうですか!」
「……ああ、いいだろう」
「そろそろ休憩だねえ。お茶を冷やしておいたよ」
フィッフスがそう言うと、シホはケイカ『先生』さながら駆け出して、二人の元へと飛び込んで行った。
ースキップ、とは?ー END
お借りしたキャラの出典:
『鳥籠の花』
https://kakuyomu.jp/works/1177354054883263218
『鳥籠の紅茶屋』
https://kakuyomu.jp/works/1177354054895618500
作者様: 夢裏徨 様
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