第3話 胡散臭い男
リディア・クレイはあまり感情を顔には出さないタイプだったが、元々は素直な性質である。従って、胡散臭い笑みを浮かべている苦手な相手を前にして、ついつい顔を
「そんな
この柔和な物腰と口調に、大抵の者は騙されるだろう。リディアは生まれ育った経緯から『悪意』には
「何のようだ。」
『銀の短剣』への帰路だった。仕入れを終えたリディアは、最近覚えた近道を使おうと、建物と建物の間の
「ちょっとお伝えしたいことがありましてね。たぶん、あなたも聞きたいだろうなあ、と。」
「……お前の話で、おれが聞きたいことがあると思うのか?」
「ええ、そりゃあもう。……聖女さんの身の安全に関わる話ですから。」
薄暗い小径の中、男の赤い瞳が、鈍い光を放ったように見えた。
「……どういう意味だ。」
「そのままの意味ですよ。近頃は物騒ですからねえ。」
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