第9話 ケース02「FXのカトウさん」
「いやぁ、ホックホクだね」
セミプロFX投資家の、カトウさんだ。
「いったんは損失でましたけど、きれいに取りましたねー」
「うんまあ、二度目の恐慌相場だしね。」
いやいや、一度で学習できるって、すごいことですよ。
「でー・・・それはそれとして、相談があるとか?」
「あぁ。うん。実は、話が合ってね」
経験上、改まって話があるなんて切り出されるときは大抵ろくなことがない。とはいえ、聞かないわけにはいかないだろう。
「実は、同じくFXやってた友人ってか知合いなんだけど。暴落に巻き込まれて、しかも意地になって取引清算するどころか買い増ししたもんだから、全財産すっちゃってさぁ」
「あちゃあ」
あるあるである。
「で、取り返そうとして。カードローン引っ張って、また投資したみたいでさぁ」
「あちゃあ」
パート2。
「ホームラン級の馬鹿だよね。で、まぁ。レクチャー受けてる社長の話したら、会いたいって。社長さえ良ければ紹介したいんだけど、どうする」
「いやぁ・・・状況聞く限り会って話したところで、死体に心臓マッサージするぐらい無意味じゃないですか?」
「だよねぇ」
二人でため息。
ちなみにこういったことは、非常によくある。相談に来た時点でもう手遅れで、「敗戦整理」ぐらいしかやることがない。
「ま、ま。その辺は言い含めておくから、とりあえず会うだけあってよ。次回レクチャーの時でいいから」
「わかりました。」
さてさて、どんなキャラが登場するのか。
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「どうも、FX投資家のタケナカです」
一目見てわかる、負のオーラ。
たとえるならそう、深夜の牛丼屋とか、朝6時の満員電車に居る人間が醸し出しているような、アレだ。
「ええ、どうも。早速ですが、ご相談ということで・・・?」
「カードローン引っ張ってまで投資したんですが、うまくいかなくて。もうどうしたらいいのか」
どうしょうもないと思います。
ちなみに、カードローンは「資金使途自由」となっているが、あくまでそれは消費活動をする上での話だ。投資などに資金を流用することは禁止されており、もし発覚した場合、最悪一括返済を求められる(そして返せない)。
「とりあえず・・・借金と資産整理して、ライフプランニング作って一個一個やっていきましょう!まだまだチャンスはありますよ」
月並みなことしか言えないのがつらい。
今後どうなるのか。それは、タケナカさん次第である。
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