グッバイ現世、僕は異世界で最強になる。〜才能が全ての世界をヘタレ冒険者が押し通ります〜

第16話 職業 『無職』

　作戦が終わり、時計の針が頂点を指す頃。

　嘉武達はギルドの会議室に居た。

「ーーー以上が、報告となります」

「・・・そう、か。ガヴァルドは連れて行かれたんだな」

「憶測ですが、そう考えられます」

「仕方あるまい、まさか『ロータス』のモーリーまで出現していたんだ。お前たちが無事に帰って来れただけでも喜ばしい戦果と言えよう」

「ありがとうございます」

「・・・今日はご苦労だった。ゆっくり休んでくれ。明日、正午に全員またここへ来てくれ。それまでに地下にいるガヴァルドの糞共に聞けることを聞いておく」

　エルガーが重い腰を上げ、「では」と会議室を後にする。その後ろにはユーリも続いた。

　それから暫くして、「たはー、エルガーさんマジ重い！空気重いわぁ！」とハインが騒ぐ。

　ふっ、と笑うイーミル。

「・・・にしてもよぉ、ヨシタケちゃん、意外とヤレちゃうタイプだったのね？何で黙ってたのよぉ」

「いえ、自分でもあそこまでやれるとは・・・」と謙遜する。実際はもっと力があればモーリーを逃さずに済んだ。多少の苦い思いはある。

　唯一モーリーの影を置いことができなかったハインはイーミル、イヴに特徴を聞いている。嘉武はその姿を見て思う。冒険者たる者、好奇心が大事なのだと。

　それから間もなく、嘉武達も会議室を後にして、それぞれの宿舎へと帰る。嘉武は疲れているものの体中が獣の血の臭いがするのでそれを洗い流した。

　そして就寝前に思い立ち、ステータスをオープンする。

「・・・ステータス、オープン」

　ーーーーー美濃嘉武ーーーーー

　職業：『無職』

＜Lｖ＞　１２

＜HP＞　１０３９

＜MP＞　７８０

＜S＞　１０２１

＜V＞　１４９８

＜I＞　１２５６

＜A＞　１７４０

＜D＞　６３７　

　スキル　譁�ュ怜喧縺�縺ゅ＞縺�∴縺� �撰シ托シ抵シ�

　特殊能力　見切り＜Ⅰ＞挑発＜Ⅰ＞体術＜Ⅰ＞

　ーーーーーーーーーーーーー

　ステータスを開いてみると職業の欄とスキルの欄が出来ていた。

　スキルは転生者だから文字化けを起こしているのだろう。爆裂魔法の正体もわからないし、フレア等の魔法も本来のフレアでは無いのかも知れない、と思考する。

　そして「そういえば今の僕って、無職なのね・・・」嘉武は呟き、眠った。

　とある地下牢。そこにはエルガーと、二人の男。

　壁には幾つか陥没した穴が空いている。

「ーーーそうか、お前達は関係ないんだな」

「はいぃ！はぃぃ！オレたちはそんな奴らとつるむなんて怖いすぎて無理っすよ！」

「ではもう、ガヴァルドを裏切って良いのか。こちら側に就く、とはそういう事だぞ」

「当たり前じゃないですか！オレたちも死にたく無いんですよ！知ってる事なら全部話しましたしもう勘弁してくださいよ！」

「お前らは犯罪加担者だ。最悪の場合、生殺与奪の権利はこちらにある事を忘れるな。それとロータスとの関わりを持ったものは呪縛を施させてもらう。秘密保護の為だ。殺しはしない」

「へ、へへ、こちらとしてもその方がありがてぇや」

　エルガーが去った地下牢。それから少しして男二人の叫び声が木霊した。